科目責任者 | 川上 文貴 |
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担当者 | 川上 文貴※ |
科目概要 | 2・3・4年 (2単位・選択) [保健衛生学科 環境保健学コース, 臨床心理学コース] |
環境予防医学は、一般生活の室内および室外環境と職場の労働環境に存在する外的環境要因が引き起こす健康障害やその作用機序を明らかにし、疾病を予防するための学問であり、環境中の有害化学物質(ダイオキシン、多環芳香族類、ホルムアルデヒド、カドミウムなど)がヒトの健康に与える悪影響を理解し、これらの化学物質が慢性疾患やガンを引き起こす可能性について学びます。また、遺伝子レベルでの健康影響に着目し、有害化学物質の曝露が遺伝子にどのように作用するか、また遺伝子の多型性が個人間の感受性にどのように影響するかを深く理解することも目指します。これらの知識を用いて有害化学物質曝露による疾病の予防につながるアプローチを理解し、外的環境要因が人の健康に与える影響についての理解を深めることを目的とします。
この科目は学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)の②に関連する。
【教育内容】
環境中の有害因子(有害化学物質や生活習慣など)がヒトの健康に与える影響や環境因子による影響に基づく疾患の発症メカニズムについて生活習慣病や癌、感染症などを例に挙げながら、環境因子の影響に基づく疾患の予防を学習する。また、各種化学物質を取り扱う事業場では化学物質の危険有害性を把握し、適切に取扱うことが求められるため、化学物質管理者として従事するために必要な知識(化学物質管理におけるラベル・SDS等の作成やリスクアセスメントの実施、ばく露防止措置の実施、化学物質の管理に係る技術的事項など)についての知識を学習する。
【教育方法】
授業形態:講義
講義は基本的に講義形式であり、パワーポイントを利用して行う。課題を配布する。
【フィードバック】
学生から出た質問は講義内でフィードバックし、必要な場合には次回の講義で振り返りを実施する。
回 | 項目 | 授業内容 | 担当者 | 日時 |
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第1回 | 産業保健における分子生物学について | 産業保健における分子生物学の役割について解説する | 川上 文貴 | 4/10③ |
第2回 | 感染症(総論) | 環境予防医学における感染症の総論について解説する | 川上 文貴 | 4/17③ |
第3回 | 感染症(各論)① 新興・再興感染症について | 再興・新興感染症について解説する | 川上 文貴 | 4/24③ |
第4回 | 感染症(各論)② プリオン病について | プリオン病について解説する | 川上 文貴 | 5/8① |
第5回 | 薬の作用機序と副作用について | 薬の標的となる細胞の情報伝達機構と受容体の役割について解説する | 川上 文貴 | 5/15① |
第6回 | 遺伝カウンセリングについて | 遺伝カウンセリングについて解説する | 川上 文貴 | 5/22① |
第7回 | 生活習慣病について | 生活習慣病、喫煙、飲酒、肥満等に関連する遺伝子について解説する | 川上 文貴 | 5/29① |
第8回 | 重金属による生体影響について | 遺伝子損傷性の金属および重金属中毒とその機序について解説する | 川上 文貴 | 6/5① |
第9回 | がんの発症機序と病態について | がんの発生機序や病態に遺伝子を中心に解説する | 川上 文貴 | 6/12① |
第10回 | 遺伝病の病態について | 遺伝病や遺伝子の多型性等について解説する | 川上 文貴 | 6/19① |
第11回 | 多因子疾患の病態について | 遺伝的要因と環境要因により発症する多因子疾患ついて解説する | 川上 文貴 | 6/26① |
第12回 | 生体の恒常性維持機構について | ホルモンによる生体の恒常性維持機構について解説する | 川上 文貴 | 7/3① |
第13回 | 環境ホルモンの生体影響について | 環境ホルモンによる生体恒常性維持機構の破綻について解説する | 川上 文貴 | 7/10① |
第14回 | 食品添加物の生体影響について | 食品添加物の生体影響についてに解説する | 川上 文貴 | 7/11③ |
第15回 | まとめ | 予防医学の重要性についての総括 | 川上 文貴 | 7/11④ |
◆実務経験の授業への活用方法◆
国内や国外の大学・研究所でのライフサイエンス領域の研究経験を踏まえ、環境中有害因子の人体への影響を解説する上で生体内での情報伝達系と関連づけて概説する。また、中央労働災害防止協会にて、安全衛生に取り組む企業・事業場を支援するため、専門家による技術サービスや安全衛生に関する多種多様な研修およびセミナーを行ってきた経験を踏まえ、化学物質管理に関する実践的な講義を展開する。
有害化学物質や生活習慣などの各種環境因子の曝露によって生じるヒトの健康障害の予防に役立つことを理解し説明ができる。
また、第7回、第8回、第14回および第15回の講義を受講することで、労働安全衛生規則第12条の5に規定される化学物質管理者を選任するための研修を修了したことが認められ修了証が発行される。
受講態度(10%)、到達度確認試験(90%)により、受講者の知識が到達目標に達しているかを総合的に評価する。
【授業時間外に必要な学習の時間: 60 時間】
事前に、参考書を利用して、授業内容に書いてある言葉を調べておくこと。参考書、講義資料を用いて、講義内容を理解するために復習を行うこと。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 適宜プリントを配布する。 | ||
参考書 | 分子予防環境医学 | 分子予防環境医学研究会編 | 本の泉社 |
科目ナンバリングコード:HS301-EP21