科目責任者 | 坂口 和也 |
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担当者 | 坂口 和也※ |
科目概要 | 2年 (1単位・必修) [医療工学科 診療放射線技術科学専攻] |
画質の評価(MTF , WS, DQE他)のみならず、CTやMRIに代表される断面像作成(画像再構成)、空間周波数フィルタ処理など、医用画像を取扱う上で必須となるフーリエ変換(空間領域から周波数領域への変換)について、より深く学ぶことで、臨床科目や臨床現場で応用が利くところまで理解する。同様に、ROC解析で出てくる統計学についても、関連する内容と画像再構成への応用など、前期「画像工学」で学んだ事柄を、数学的により深く探究する。
この科目は学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)の①②③④⑤⑦に関連する。
【教育内容】
周波数領域での画質評価法を振り返りながら、また、積分やベクトルの内積(直交展開)などの数学的な概念を用いて、フーリエ変換について様々な角度から解説する。
空間フィルタとたたみ込み積分、周波数フィルタ処理とたたみ込み定理のように、医用画像処理とその根拠となる数学(定理)について再確認する。
【教育方法】
授業形態:講義
配布した資料をプロジェクターに投影、口頭説明を基に穴埋めやノートを資料に書き入れる形式と、式変形や計算問題を板書により説明する形式とを併用する。
数学的な内容の確認には課題(演習問題)を中心に理解の促進を図る。
【フィードバック】
課題については、解説前に一度挑戦をしてみて(予習)、講義で解説を聞き、正答を導く(復習)ような手法をとる。
課題提出はICT環境を利用し、予習と復習それぞれの写真・スキャン画像を送信することで、常に問題用紙が手元にある状況を保ち、質問には対面・web上どちらでも対応し、必要に応じて質問項目とその回答を共有できるよう、講義時間外の運用も行い理解の推進に努める。
回 | 項目 | 授業内容 | 担当者 | 日時 |
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第1回 | 【対面】 直交関数列展開① フーリエ変換など | フーリエ変換の一番の特徴である、周波数に別けた解析手法とその有用性について再確認する。併せて積分や内積について復習を行う。 | 坂口 和也 | 9/10③ |
第2回 | 【対面】 直交関数列展開② 座標軸の回転と正射影 | 直交関数列展開の雰囲気を感じる。また、実例として画像圧縮の離散ウェーブレット変換など、統計の分野から主成分分析などフーリエ変換以外の例も知る。 | 坂口 和也 | 9/17③ |
第3回 | 【対面】 線形性などの諸定理 画像評価法を例にして | フーリエ変換の持つ線形性や推移則、たたみ込み定理、スケーリング、ウィナー・ヒンチン等の諸定理を画像評価を例に取って把握する。 | 坂口 和也 | 9/24③ |
第4回 | 【対面】 連続関数のフーリエ変換① (代表的な関数の計算練習) | 事前配布の練習問題の解説を行う。 矩形関数や両側指数関数など医用画像で良く出てくる関数について、フーリエ変換の計算ができるようになる。 | 坂口 和也 | 10/1③ |
第5回 | 【対面】 連続関数のフーリエ変換② (諸性質の確認や利用) | 事前配布の練習問題の解説を行う。 矩形関数を例に畳み込み定理や、デルタ関数列を用いた標本化定理、推移則による位相変化など計算問題を解くことで理解を深める。 | 坂口 和也 | 10/8③ |
第6回 | 【対面】 二次元フーリエ変換 ・離散フーリエ変換 | 画像のフーリエ変換について学ぶ。 標本化されたデジタル画像のフーリエ変換や畳み込み演算について、計算問題を解きつつ学ぶ。また、高速化(FFT)についても知る。 | 坂口 和也 | 10/15③ |
第7回 | 【対面】 フーリエ変換と解析的画像再構成 | CT等の断面像作成(画像再構成)に直結するラドン変換や中央断面定理について学ぶ。 | 坂口 和也 | 10/22③ |
第8回 | 【対面】 統計学(尤度)を用いた画像再構成 | ROC解析でも出てくる尤度比の概念について振り返ると共に、尤度を応用した画像再構成(ML-EM)について学ぶ。 | 坂口 和也 | 10/29③ |
◆実務経験の授業への活用方法◆
病院での臨床経験および研究所での研究経験を踏まえ、医用画像の評価法及び画像処理技術を概説する。
医用画像を扱う技術者として、基礎数学となるフーリエ変換をブラックボックス化しないよう、他人(同級生や後輩)にフーリエ変換の概念や主な性質を説明できる程度まで理解を深める。
計算問題を解くことが主な目的ではなく、数学的な概念を理解することに重きを置いていることに留意して、公式の暗記などに走らず、「位置(時間)変化から周波数変化に視点を変える操作」のイメージが想い浮かぶ程度まで把握する(人に伝えられる)ことを目標とする。
そして、医用画像処理での実例を知り、何を目的にどのような事を行っているか他者に概説できるようになる。
定期試験(67%)と、日常の取り組みとして課題提出(33%)により評価する。
課題は予習・復習の確認で、都度、写真等の送信で提出とする(計算した原本は常に手元に残すこと)。
小テストは後半の知識を深める部分で実施する。形式はマークシートとし、正答・解説は終了後すぐに配布する。
【授業時間外に必要な学習時間:29時間、3・4時間/回】
前期に実施済となる「画像工学」において簡単な紹介に留めた部分の深掘りに相当する。適宜見直すこと。
計算問題を中心とした課題を多めに出し、予習・復習材料とする。
課題提出時全く解らない場合は白紙でも問題ないが、その後すぐに講義で実際に触れるので、復習時には解けるようになること(平均で課題2時間, 復習2時間程度)。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 新・医用放射線科学講座 医療画像情報工学 第2版 | 寺本篤司・藤田広志 | 医歯薬出版株式会社 |
参考書 | 線形代数セミナー (射影, 特異値分解, 一般逆行列) | 金谷健一 | 共立出版 |
参考書 | C言語で学ぶ実践画像処理 | 井上誠喜・八木伸行 | オーム社 |
参考書 | C言語による画像再構成の基礎 (画像再構成シリーズ) | 橋本雄幸・篠原広行 | 医療科学社 |
参考書 | 逐次近似画像再構成の基礎 (画像再構成シリーズ) | 篠原広行・中世古和真・坂口和也・橋本雄幸 | 医療科学社 |
参考書 | MRIとフーリエ変換 (画像再構成シリーズ) | 篠原広行・橋本雄幸 | 医療科学社 |
科目ナンバリングコード: RT301-SS08