科目責任者 | 渡邉 誠 |
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担当者 | 渡邉 誠※, 迫田 裕司※ |
科目概要 | 4年 (1単位・選択) [リハビリテーション学科 作業療法学専攻] |
本授業のテーマ:肩関節疾患に対する作業療法 ~肩関節痛の治療~
本授業では、身体障害領域の作業療法を実践する上で重要となる肩関節複合体の治療に必要な評価と治療技能および作業療法士としての態度を修得することを目的としています。
本年度の技術論Ⅲの講義目的は以下となります。
・肩関節複合体を治療するために必要な体幹(頸椎・胸椎・肋骨・骨盤)、鎖骨、肩甲骨、上腕骨に関する解剖学・運動学を理解する。
・肩関節複合体の疾患として臨床で多く接する肩関節痛の例を示し、その病態と病因について理解する。
・肩関節痛に対する作業療法介入に必要な評価として頸椎・胸椎・肋骨および骨盤と胸鎖関節・肩甲胸郭関節・肩鎖関節・肩甲上腕関節に関わる骨・関節・筋の観察・触診を理解する。
・有痛患者として疼痛や可動域制限が上肢機能を制限した結果、患者の日常生活に発生する生活課題について面談・問診することができる。
・疼痛および肩関節複合体に対する評価・治療技術を学習し、演習を通して技能として身につけ、実際の人体に対して徒手的治療を施術することができる。
・実技試験を通した評価・治療の実技試験を通して卒後教育を円滑に進めるための臨床能力を修得する。
・肩関節痛患者が抱える問題に対して解決方法を模索し、療法士として治療技術を身に付け技術を向上させる思考と態度を表出することができる。
この科目は学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)の①②③に関連する。
【教育内容】
・肩関節複合体を構成する骨・関節・筋について説明し、小テストを実施する。
・肩甲上腕関節の関節包内運動(転がり・滑り・回旋・副運動)としまり肢位・ゆるみ肢位について説明する。
・肩関節痛の病態および病因について説明する。
・肩関節複合体の疾患に対して実施する「肩の評価方法」を説明する。
・有痛症状および日常生活制限を有する肩関節疾患患者に対する問診、触診、検査について説明する。
・肩関節痛に対する初期評価および初回治療の展開を治療し、実施する。
【教育方法】
・授業形態:講義および演習
・講義方法:スライド、配布資料、模擬的な教示にて説明する。
・演習:ペアを組み、問診、触診、検査、施術を実施する。
【フィードバック】
次回の授業において課題で問われている内容についてコメントする。
回 | 項目 | 授業内容 | 担当者 | 日時 |
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1・2回 | 【対面】 ・肩の解剖とバイオメカニクス [実習] ・触肩の運動学、触診 | ・肩関節複合体の解剖(骨・筋・靭帯)を理解する。 ・肩関節複合体の関節運動を理解する。 ・小テストを実施する。 ・筋、関節の触診を行う。(演習) | 渡邉 誠 迫田 裕司 | 10/2③④ |
3・4回 | 【対面】 ・肩の評価 ・肩関節複合体と体幹の評価 [実習] ・観察、触診、問診 | ・肩関節複合体と体幹の関係を理解する。 ・頭部・頸部・胸椎・腰椎が肩関節複合体に与える影響を理解する。 ・肩の評価演習を行う。(演習) | 渡邉 誠 迫田 裕司 | 10/9③④ |
5・6回 | 【対面】 ・肩関節痛の評価と治療 [実習] ・肩関節痛に対する初期評価および初回治療の展開 | ・疼痛の有無や放散痛の部位を理解する。 ・肩関節複合体と疼痛の関連を理解する。 ・肩関節痛の評価方法を理解する。 ・肩関節痛に対する初期評価・初回治療を行う。(演習) | 渡邉 誠 迫田 裕司 | 10/16③④ |
7・8回 | 【対面】 ・肩疾患の評価、治療の実技試験 [実習] ・肩疾患に対する初期評価と初回治療の展開 | ・実技試験を行う。 ・試験に対する即時フィードバックを行う。 ・肩疾患に対する初期評価と初回治療の展開。(演習) | 渡邉 誠 迫田 裕司 | 10/23③④ |
◆実務経験の授業への活用方法◆
病院及び地域での臨床経験を踏まえ、作業療法を実践する上で必要となる肩疾患の評価および治療実践、患者ー治療者関係の構築を理解する。
・肩関節痛を理解するために必要な解剖学・生理学・運動学について説明することができる。
・疼痛を引き起こす肩関節構造的問題と心理的問題そして上肢機能制限による日常生活に関する問題についてその関連を説明することができる。
・有痛患者に対して疼痛に配慮し施術するための実技を修得し、実践することができる。
・卒後教育を円滑に進めるための臨床能力を理解し、新人教育担当と必要な知識・技能について確認するための適切なコミュニケーションができる。
実技試験(60%)、小テスト(10%)、受講後のレポート(30%)にて総合評価を行う。
【本授業を受講するために】
・本講義では徒手操作による上肢機能評価・治療演習を行います。肩甲骨から手指までの触診が可能な服装の準備をお願い致します。また、触診、徒手的誘導を行うため、身体への接触が生じます。演習では、触れること・触れられること及び徒手的誘導により操作されることを理解した上で、履修するようお願いいたします。
・なお、本講義は卒業後の進路として身体障害作業療法に従事する予定であり、肩関節の治療について興味や関心を持つ学生に向けて開講するものです。患者の身体機能の回復に取り組みたいという希望のある学生の受講を期待します。
【授業時間外に必要な学習時間:29時間】
[予習]:肩関節包の癒着・短縮(概念・評価・治療)を事前に調べ、レポートとしてまとめておくこと。特に、肩関節の施術に関する関連書籍を探し自らの資料を作成しておくことをお勧めします。また、肩関節疾患に関する医師の診療方法や手術方法などの関連書籍は肩関節疾患を理解するうえ有益な情報が記載されているため事前に閲覧しておくと講義の理解が深まります。
[復習]:演習で行った問診、触診、評価の流れ、治療の展開については、繰り返し練習をし、自らの技能として修得すること。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 授業の中で資料を配布する。 | ||
参考書 | 入門人体解剖学 [第5版] | 藤田恒夫 | 南江堂 |
参考書 | 基礎運動学 [第6版] | 中村隆一、斎藤宏、長崎浩 | 医歯薬出版株式会社 |
参考書 | PT・OTの整形外科学 | 高平尚伸、池田浩 | 文光堂 |
参考書 | 肩のリハビリテーション | Robert A.Donatelli 山本龍二、赤松功也、吉松俊一、濱田良機 監訳 | メディカル葵出版 |
参考書 | マリガンのマニュアルセラピー [第5版] | Brian R Mulligan 藤縄理、赤坂清和、亀尾徹、細田多穂 監訳 | 協同医書出版社 |
参考書 | 整形外科運動療法ナビゲーション [第2版] | 整形外科リハビリテーション学会 | メジカルビュー社 |
参考書 | 肩関節拘縮の評価と運動療法 | 林典雄 | 運動と医学の出版社 |
参考書 | 系統別・治療手技の展開 [第2版] | 奈良勲、黒澤和生、竹井仁 | 協同医書出版 |
科目ナンバリングコード: OT301-SC03