科目責任者 | 坂口 和也 |
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担当者 | 坂口 和也※ |
科目概要 | 3年 (2単位・必修) [医療工学科 診療放射線技術科学専攻] |
核医学検査は放射性核種で標識した医薬品を用いて、臓器組織の機能や病態の解明を行う検査手法である。
核医学技術学Ⅱでは、生体内投与した放射性医薬品の薬物動態を放射線を介して体外計測する、インビボ検査を詳しく取り上げ、その検査手技等を講義し、将来、一度は従事するであろう核医学検査について、必要な知識を身につける。
この科目は学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)の①②③④⑤⑦に関連する。
【教育内容】
核医学検査の目的、用いる放射性医薬品とその集積原理(集積機序とも言う)、検査手技、
画像解剖および臨床的意義を臓器ごとに学習し、核医学技術学の臨床的な項目について講義する。
【教育方法】
授業形態:講義
プロジェクターによるスライド表示と口頭での解説で実施する。
配布資料は解剖や生理学的背景も盛り込んだもので、次回分を先に配布し、基礎知識の復習を可能にする。
配布資料内の穴埋めやメモ書きで、専門的な用語を押さえつつ、解説を聴き検査の全体像や特徴を把握する。
【フィードバック】
講義の節目(ほぼ毎回)に小テストを実施する(実施は次回講義の冒頭)。用語と内容の紐付けの確認を行う。
小テストはマークシート形式とし、小テスト終了後、即座に正答及び解説を配布、自己採点の時間を設ける。
自己採点の時間を使用し、必要に応じて、全体に対して質問受付・追加解説を実施し誤った記憶を減らす。
回 | 項目 | 授業内容 | 担当者 | 日時 |
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第1回 | 【対面】 インビボ検査概論 | 体内に放射性医薬品を投与しガンマカメラ等で撮像するインビボ検査の概要を把握する。 | 坂口 和也 | 4/10⑤ |
第2回 | 【対面】 骨・全身収集 | 代表的な核医学検査で、画像も直感的に理解し易い、骨シンチグラフィについて習得し、インビボ検査の概念理解を補強する。合わせてFDG腫瘍PETも取り上げ、両者の同一点・相違点を把握する。 | 坂口 和也 | 4/17⑤ |
第3回 | 【対面】 内分泌系 | 機能画像検査の特徴を色濃く反映した内分泌系(甲状腺、副甲状腺、副腎皮質・髄質)シンチグラフィについて、生理学的背景と併せて習得する。 | 坂口 和也 | 4/24⑤ |
第4回 | 【対面】 核医学治療 (RI内用療法) | α, β線放出核種を用いた治療(RI内用療法)について、内分泌系腫瘍や骨転移を対象としたものが多い事より、前2回の復習も兼ねて理解を深める。 | 坂口 和也 | 5/8⑤ |
第5回 | 【対面】 中枢神経系1(脳血流) | 主に脳梗塞を対象とした脳血流核医学検査について習得する。また、血流を介した組織への薬物の供給・排泄(薬物動態)について知識を深める。 | 坂口 和也 | 5/15⑤ |
第6回 | 【対面】 中枢神経系2(神経受容体) | 認知症やてんかん、精神疾患の病態把握など中枢神経受容体を対象とした核医学検査について学ぶ。 | 坂口 和也 | 5/22⑤ |
第7回 | 【対面】 循環器系1(心筋血流・代謝) | 心筋血流、心筋梗塞、心筋脂肪酸代謝、心交感神経機能シンチグラフィおよび心筋PETについて習得する。 | 坂口 和也 | 5/29⑤ |
第8回 | 【対面】 循環器系2(心機能解析) | 心電図同期収集など、心拍出量や心駆出率等の心機能解析を行うための撮影法や解析方法ついて学ぶ。 | 坂口 和也 | 6/5⑤ |
第9回 | 【対面】 呼吸器系 | 肺血流シンチグラフィと肺換気シンチグラフィについて呼吸器系疾患とともに学ぶ。 | 坂口 和也 | 6/12⑤ |
第10回 | 【対面】 泌尿器系 | 腎静態シンチグラフィと腎動態シンチグラフィ(レノグラム)について薬物の排泄機構とともに習得する。 | 坂口 和也 | 6/19⑤ |
第11回 | 【対面】 消化器系 | 唾液腺、消化管出血、異所性胃粘膜、肝胆道系のシンチグラフィについて検査の意義・手技などを学ぶ。 | 坂口 和也 | 6/23② |
第12回 | 【対面】 脳脊髄液・リンパ流・他 | 脳脊髄液やリンパ流の流れの観察や、腫瘍直近のリンパ節の特定を行う核医学検査法について学ぶ。 | 坂口 和也 | 6/26⑤ |
第13回 | 【対面】 腫瘍・炎症1(非特異的検査) | 糖代謝を介した悪性腫瘍の検出など、非特異的な腫瘍シンチグラフィ、PET検査について知識を深める。 | 坂口 和也 | 6/30② |
第14回 | 【対面】 腫瘍・炎症2(特異的検査) | 神経内分泌腫瘍など、腫瘍が持つ特徴を活かした腫瘍シンチグラフィ、PET検査について、特異的集積の背景と併せて習得する。 | 坂口 和也 | 7/3⑤ |
第15回 | 【対面】 核医学検査技術学のまとめ | 血流による薬剤輸送、肝臓での代謝・解毒、腎臓から尿として排泄される等の薬物動態から、核医学検査各論を再確認し、理解を深める。 | 坂口 和也 | 7/10⑤ |
◆実務経験の授業への活用方法◆
病院での臨床経験を踏まえ、核医学検査の目的、用いる放射性医薬品とその集積原理及び臨床的意義を臓器ごとに概説する。
実務経験を踏まえ、量的や時間的な感覚など教科書では伝わりづらい、現場の雰囲気・感覚を、概算値など用いて説明する。
研究を通じて知り得た知識など保険適用外診療の内容も盛り込み、理解促進を促す。
各検査の臨床的意義(生理学/病理学)、放射性医薬品の種類と集積原理(薬理学/薬物動態学)、前処置を含む検査方法に検査結果画像を結び付けた、核医学検査技術学全体の知識を身に付け、説明できるようになる。
国家試験で例えれば、正しい選択肢を五者択一で当てられるだけで無く、誤りの選択肢についても、どの部分が誤りであるか指摘でき、引っ掛けなどの難問であっても、集積原理などから順序立てて正答を導き出せるところを到達目標とする。
主に定期試験(67%)とし、講義毎の小テストを日常の取り組み(33%)として評価に加える。
【授業時間外に必要な学習時間:60時間、平均4時間/回】
初回を除き、次回予定の講義資料を先に配布する。その資料のうち、最初の数ページは検査各論の導入として、関係する解剖学・生理学等の基本的背景を記載している。この導入部は知っているものとし講義を進めるので、教科書や参考書等を片手に読み進めておくこと(1時間程度の予習)。また、連続する場合は除き、原則的に講義始めに前回講義の小テスト(マークシート形式)を実施するので、対策を怠らず、小テスト後は自己採点と見直しを行うこと(3時間程度の復習)。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 核医学検査技術学 改訂4版 | 佐々木雅之, 馬場眞吾 | 南山堂 |
参考書 | 新 核医学技術総論「臨床編」 | 日本核医学技術学会 | 山代印刷 |
参考書 | 核医学 改訂第2版 (診療放射線技師 スリム・ベーシック) | 福士政広 | メジカルビュー社 |
参考書 | フルカラーCGで学ぶ 核医学検査のテクニック | 加藤千恵次, 孫田惠一, 杉森博行 | メジカルビュー社 |
参考書 | わかりやすい核医学 第2版 | 玉木長良, 平田健司, 真鍋治 | 文光堂 |
参考書 | 新 核医学テキスト | 絹谷清剛, 若林大志 | 中外医学社 |
参考書 | 超実践マニュアル 核医学 | 對間博之, 飯森隆志, 甲谷理温 | 医療科学社 |
参考書 | 新 核医学技術総論「基礎編」 | 日本核医学技術学会 | 山代印刷 |
参考書 | 新 放射化学・放射性医薬品学 | 佐治英郎, 前田稔 | 南江堂 |
参考書 | カラー図解 これならわかる薬理学 第2版 | ハインツ・リュルマン, 佐藤俊明 | メディカルサイエンス インターナショナル |
参考書 | 薬がみえる vol.4 | 医療情報科学研究所 | メディックメディア |
教科書は直接用い文章を追う事はしないが、薬剤・検査機器・検査法全体を網羅した本として一冊手元に置き予復習に活用すること。
科目ナンバリングコード: RT301-SS15