科目責任者 | 坂口 和也 |
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担当者 | 坂口 和也※ |
科目概要 | 2年 (2単位・必修) [医療工学科 診療放射線技術科学専攻] |
将来、医用画像を取扱う者として、スナップ写真のように画像の良し悪しを好みで判断することは出来ず、根拠ある手法で定量的に評価することが求められる。
また、放射線を取扱う者として、被検者への被ばくを、画像診断に耐えうる画質や不変性は担保した上で、可能な限り抑える努力が必要となる。
画像情報学では、基礎的なX線画像の評価方法を学ぶことで、評価すべき項目を知り、実施手順から評価結果の解釈に至るまで、講義を通じ知識として身に着ける。
この科目は学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)の①②③④⑤⑦に関連する。
【教育内容】
X線画像を中心に医用画像評価法について、評価する意義から評価原理・方法・結果の読取りまで解説する。
【教育方法】
授業形態:講義
配布資料(プリント)をプロジェクターに投影、口頭説明を基に穴埋めやノートを資料に書き入れる形式で行う。
講義の節目(2-3回毎)に国家試験に準ずるマークシート形式での小テストを実施。理解の促進を図る。
【フィードバック】
講義の節目(2-3回毎)に小テストを、次回講義開始時に実施。用語と内容の紐付けの確認を行う。
小テストはマークシート形式とし、終了後、即座に正答及び解説を配布、自己採点・質疑応答の時間を設ける。
また、採点後、問題別の正答率に応じて必要な部分は、次回の最初に解説する。
回 | 項目 | 授業内容 | 担当者 | 日時 |
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第1回 | 【対面】 画質評価への導入① X線撮影系の出力画像 | X線撮影系の画質について、可視光を用いた一般的な写真と比較し、類似点や相違点を確認する。 | 坂口 和也 | 4/7③ |
第2回 | 【対面】 画質評価への導入② アナログ画像とデジタル画像 | 既に一般化されたデジタル画像と写真などアナログ形式の画像の、類似点や相違点を確認する。 | 坂口 和也 | 4/10③ |
第3回 | 【対面】 画質評価への導入③ デジタル画像処理 | 画像を数値データとして行う処理のうち、空間フィルタ処理や階調処理など平易な部分と、画像圧縮について概要を学ぶ。 | 坂口 和也 | 4/14③ |
第4回 | 【対面】 画質評価への導入④ 周波数分解と画質評価 | 画像のボケやノイズを評価する際、フーリエ変換を用い周波数分解した成分を比較する事が多い。この周波数分解について音を例に概要をつかむ。 | 坂口 和也 | 4/17③ |
第5回 | 【対面】 画質評価への導入⑤ フーリエ変換の諸性質 | フーリエ変換の諸性質のうち、医用画像評価に必要な定理や諸性質について概要の理解を深める。 | 坂口 和也 | 4/21③ |
第6回 | 【対面】 入出力特性① 特性曲線 | 画像の濃度形成や濃淡を示す指標である、比感度・コントラストを示す特性曲線について、その読み方などを理解する。 | 坂口 和也 | 4/24③ |
第7回 | 【対面】 入出力特性② センシトメトリ | 特性曲線を描く測定法である、センシトメトリについて実施方法から結果解釈まで学ぶ。 | 坂口 和也 | 4/28③ |
第8回 | 【対面】 解像特性① 画像のボケ評価 | 画像のボケ評価について、周波数分解を行わない実空間領域での評価法(解像力法など)と、分解後の空間周波数領域での評価法(MTF法)の種類を知る。 | 坂口 和也 | 5/8③ |
第9回 | 【対面】 解像特性② MTF測定の原理 | 空間周波数領域での評価法(MTF法)の原理と結果の意味についてより深く理解する。 | 坂口 和也 | 5/12③ |
第10回 | 【対面】 解像特性③ MTF測定の実際 | MTF測定の実際となる、測定手技および結果解釈についてより深く理解する。 | 坂口 和也 | 5/15③ |
第11回 | 【対面】 雑音特性① 画像ノイズの評価 | 画像に含まれるノイズ量を評価する、雑音特性 (RMS粒状度・WS/NPS)の測定原理および結果解 釈について理解する。 | 坂口 和也 | 5/22③ |
第12回 | 【対面】 雑音特性② 信号対雑音比 | 画像の不鮮鋭およびノイズを信号対雑音比(S/N比)の概念を用いて評価する方法(NEQ/DQE)について定義から結果解釈までを理解する。 | 坂口 和也 | 5/29③ |
第13回 | 【対面】 主観的評価① 統計による官能評価 | 人の目による画像診断に立脚した、主観的評価原理・統計的決定理論について概念を理解し、評価法の種類を知る。 | 坂口 和也 | 6/5③ |
第14回 | 【対面】 主観的評価② 刺激-反応行列 | 主観的評価法の代表格であるROC解析を学ぶ。 刺激-反応行列の作成や、検査の感度・特異度など統計的な用語や計算方法を理解する。 | 坂口 和也 | 6/12③ |
第15回 | 【対面】 主観的評価③ ROC解析 | 閾値を変化させROC曲線を描くところから、結果の処理・解釈までを理解する。また、ROC解析に用いられる医療統計ソフトウェアについて概略を知る。 | 坂口 和也 | 6/19③ |
◆実務経験の授業への活用方法◆
病院での臨床経験および研究所での研究経験を踏まえ、医用画像の評価法及び画像処理技術を概説する。
医用画像評価のうちX線撮影系を例に取り、背景や意義、理論・手法および結果の解釈を、評価項目別に順序立てて説明できる。
主に定期試験(80%)とし、項目毎の小テストを日常の取り組み(20%)として評価に加える。
【授業時間外に必要な学習時間:60時間、平均3時間/回+予備知識習得15時間】
画質評価は古くはアナログ写真の頃から研究・発展した分野であり、本講義でもアナログ写真とデジタル画像についての対比が出てくる。
その一方、アナログ写真を用いる機会は減り、デジタル画像については数学Aや情報など高校で既に学んだ分野も含まれる。そこで、この部分は本講義で大幅に割愛し、画質評価を中心に話を進める。
個々で疑問に思った点は教科書や追加の配布資料で適宜確認を行うこと(科目を通じて15時間程度)。
項目毎(講義2-3回毎)に小テストを実施するので、小テスト対策として復習を行うこと(1時間/回程度の見直し)。
小テストは評価にも用いるが、自分自身の復習到達度を測る指標にもなる。マークシート形式で問題・正答は小テスト当日に手に入るので、自己採点と不足分の追加を行うこと(定期試験対策と捉えて2時間/回程度)。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 新・医用放射線科学講座 医療画像情報工学 第2版 | 寺本篤司・藤田広志 | 医歯薬出版株式会社 |
参考書 | 放射線写真学 アナログからデジタルへ | 古川克治 | 富士フィルムメディカル |
参考書 | 医用画像情報学 改訂5版 | 杜下淳次 | 南山堂 |
参考書 | 標準 ディジタルX線画像計測 | 市川勝弘 | オーム社 |
参考書 | よくわかる医用画像工学 | 石田隆行 | オーム社 |
参考書 | よくわかる医用画像情報学 | 李鎔範・小笠原克彦 ・石田隆行 | オーム社 |
参考書 | 放射線画像系の画像評価 | 小川亙 | 医療科学社 |
科目ナンバリングコード: RT301-SS07