科目責任者 | 熊谷 寛 |
---|---|
担当者 | 稻岡 秀検※, 有阪 直哉, 小菅 智裕※, 武田 俊※ |
科目概要 | 3年 (1単位・必修) [医療検査学科] |
臨床検査技師は、業務において心電計などの医用電子機器の操作を必要とする。そのため、医用電子機器を構成する素子の動作原理や、医用電子機器の操作方法について学ぶ必要がある。医用機器の構成要素である様々な素子を用いて、基本的なアナログ回路とデジタル回路を構成する技術を習得する。またそれらの回路の特性について各種電子計測機器を用いて計測する技術を習得する。
この科目は学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)の①②③に関連する。
【教育内容】
抵抗、コンデンサ等の素子の物性値の測定、直流回路におけるキルヒホッフの法則について学び、応用としてポテンショメータの概念を分圧器を用いて理解する。また直流計器を用いて漏れ電流の測定についても理解する。CR回路の時定数および周波数特性の計測を行い、遮断周波数と時定数の関係について学ぶ。共振回路としてLCR回路の周波数特性の計測を行い、共振周波数とQ値の関係について理解する。ダイオード、バイポーラトランジスタ、FETの静特性の測定を行い、ダイオードを用いた整流回路、スライサ回路について学ぶ。応用としてバイポーラトランジスタを用いた交流増幅回路を設計する。演算増幅器を用いた各種回路の周波数特性を測定する。応用として差動増幅器のCMRR、微分・積分回路によるフィルタ回路を作成し、回路を組み合わせることで総合周波数特性について理解する。最後に、デジタル回路の製作と論理回路の組合せによる論理演算ついて学び、応用として無安定マルチバイブレータによる発振回路を作成する。
【教育方法】
授業形態:実習・実技
1. 実習書の内容を講義形式で解説する。実習を通して計測機器の操作方法、測定誤差の概念、理論値と実測値との違いについて系統的に理解させる。
2. 実験終了時に、測定した素子の実測値や、測定対象の回路図、実験結果を表にしたものを実習結果報告書としてまとめる。
【フィードバック】
1. 口頭試問の課題については、口頭試問終了直後に、口頭試問の出題の意図、模範解答、模範解答に至るまでの考え方について解説を行う。
2. レポート提出後にGoogle Classroom等を用いて、レポート作成における注意事項や、提出レポートに見られた問題点などについて解説を行う。
回 | 項目 | 授業内容 | 担当者 | 日時 |
---|---|---|---|---|
1~2回 | 【対面】オリエンテーション | 3回から14回までの実習についてのガイダンスを行う。 | 稻岡 秀検 小菅 智裕 有阪 直哉 武田 俊 | 9/2③④ |
3~4回 | 【対面】直流回路 | マルチメータによる抵抗の測定、直流電圧・電流の計測を行う。次いで電源と抵抗からなる、複雑な直流回路について電圧・電流の計測を行う。応用例として分圧器を用いたポテンショメータを作成する。ポリグラフからの漏れ電流をテスターを用いて測定する方法を理解する。 | 稻岡 秀検 小菅 智裕 有阪 直哉 武田 俊 | 9/3③④ |
5回 | 【対面】直流回路の課題作成 | 実験結果の表を作成する。キルヒホッフの法則を用いて理論計算を行い、実測値と比較する。また、ポテンショメータの原理および漏れ電流の測定原理について解説する。最後に到達度の確認のために口頭試問を行う。 | 稻岡 秀検 小菅 智裕 有阪 直哉 武田 俊 | 9/3⑤ |
6~7回 | 【対面】CR回路 | オシロスコープ、ファンクションジェネレータの使用法について学ぶ。CR回路(積分回路、微分回路)の過渡応答(時定数)および周波数特性(振幅、位相)の計測を行う。 | 稻岡 秀検 小菅 智裕 有阪 直哉 武田 俊 | 9/4③④ |
8回 | 【対面】CR回路の課題作成 | 実験結果の表およびグラフを作成する。周波数特性(振幅、位相)の理論計算を行い、実測値との比較を行う。グラフから2種類の方法で時定数を求める。グラフから遮断周波数を求める。最後に到達度の確認のために口頭試問を行う。 | 稻岡 秀検 小菅 智裕 有阪 直哉 武田 俊 | 9/4⑤ |
9~10回 | 【対面】共振回路 | LCR共振回路の周波数特性(振幅、位相)を測定する。 | 稻岡 秀検 小菅 智裕 有阪 直哉 武田 俊 | 9/5③④ |
11回 | 【対面】共振回路の課題作成 | 実験結果の表およびグラフを作成する。LCR共振回路の周波数特性(振幅、位相)の理論計算を行い、実測値との比較を行う。また周波数特性からQ値の算出を行い、理論値と比較する。最後に到達度の確認のために口頭試問を行う。 | 稻岡 秀検 小菅 智裕 有阪 直哉 武田 俊 | 9/5⑤ |
12~13回 | 【対面】ダイオードと整流回路 | ダイオードの静特性の測定を行う。ダイオードを用いて半波整流回路・平滑化回路を作成し、入出力波形を観測する。次いで、ダイオードを用いて全波整流回路、スライサ回路を作成し、入出力波形を観測する。ツェナーダイオードの静特性の測定を行い,降伏電圧について理解する。 | 稻岡 秀検 小菅 智裕 有阪 直哉 武田 俊 | 9/9③④ |
14回 | 【対面】ダイオードと整流回路の課題作成 | 実験結果の表およびグラフを作成する。測定結果を用いてダイオードの内部抵抗のグラフ作成する。理想的なダイオードと実際のダイオードの違いについて考察する。スライサ回路で定電圧電源の値を変更した場合の波形について予想する。最後に到達度の確認のために口頭試問を行う。 | 稻岡 秀検 小菅 智裕 有阪 直哉 武田 俊 | 9/9⑤ |
15~16回 | 【対面】オリエンテーション | 17回から28回までの実習についてのガイダンスを行う。 | 稻岡 秀検 小菅 智裕 有阪 直哉 武田 俊 | 9/10③④ |
17~18回 | 【対面】トランジスタと交流増幅回路 | FET、バイポーラトランジスタの静特性の測定を行う。次いで、バイポーラトランジスタの静特性を用いた交流増幅回路を作成し、入出力波形を観測する。 | 稻岡 秀検 小菅 智裕 有阪 直哉 武田 俊 | 9/11③④ |
19回 | 【対面】トランジスタと交流増幅回路の課題作成 | 実験結果の表およびグラフを作成する。交流増幅回路において入力電圧を増加させると出力波形に歪みが現れる理由について考察する。バイアス抵抗を変更すると出力波形がどのように変化するかについて考察する。最後に到達度の確認のために口頭試問を行う。 | 稻岡 秀検 小菅 智裕 有阪 直哉 武田 俊 | 9/11⑤ |
20〜21回 | 【対面】演算増幅器の基礎 | 演算増幅器による反転・非反転増幅回路の製作と周波数特性の計測を行う。次いで、演算増幅器を用いた差動増幅回路の作成とCMRRの計測を行う。 | 稻岡 秀検 小菅 智裕 有阪 直哉 武田 俊 | 9/12③④ |
22回 | 【対面】演算増幅器の基礎の課題作成 | 実験結果の表およびグラフを作成する。反転増幅回路の増幅率の厳密な計算を行う。反転増幅回路・非反転増幅回路において、周波数特性が高域で減衰する理由について考察する。CMRRの理論値計算を行い実測値と比較する。最後に到達度の確認のために口頭試問を行う。 | 稻岡 秀検 小菅 智裕 有阪 直哉 武田 俊 | 9/12⑤ |
23〜24回 | 【対面】演算増幅器の応用 | 演算増幅器による微分・積分回路の製作と周波数特性の計測を行う。また、反転増幅器と積分回路・微分回路を組み合わせて、二つ以上の回路による総合周波数特性の測定を行う。 | 稻岡 秀検 小菅 智裕 有阪 直哉 武田 俊 | 9/16③④ |
25回 | 【対面】演算増幅器の応用の課題作成 | 実験結果の表およびグラフを作成する。微分・積分回路の出力波形の理論値計算、周波数特性の理論値計算を行う。総合周波数特性の理論値計算を行う。最後に到達度の確認のために口頭試問を行う。 | 稻岡 秀検 小菅 智裕 有阪 直哉 武田 俊 | 9/16⑤ |
26〜27回 | 【対面】デジタル回路 | TTL回路の閾値の測定を行う。NOT、 AND、OR回路の作成、およびフリップフロップ回路の製作と動作計測を行なう。NAND回路を用いた無安定マルチバイブレータを作成し、フリップフロップ回路を用いて無安定マルチバイブレータの動作制御を行う。最後に応用として、フォトインタラプタを用いてフリップフロップ回路を制御し、無安定マルチバイブレータを動作・停止させる滴下センサの模擬回路を実現する。 | 稻岡 秀検 小菅 智裕 有阪 直哉 武田 俊 | 9/17③④ |
28回 | 【対面】デジタル回路の課題作成 | 実験結果の表およびグラフを作成する。NOT、 AND、OR回路の論理演算・真理値表の作成を行う。フリップフロップ、無安定マルチバイブレータ,フォトインタラプタの動作原理について考察する。滴下センサの動作機序について考察する。最後に到達度の確認のために口頭試問を行う。 | 稻岡 秀検 小菅 智裕 有阪 直哉 武田 俊 | 9/17⑤ |
※ 3~14回の実験項目を実験前半、17〜28回の実験項目を実験後半とする.
◆実務経験の授業への活用方法◆
"研究所での経験を踏まえ、実際の工場などで用いられる、電子デバイスを用いての測定系について実例を挙げて解説する。
企業での機器開発経験を踏まえ、医用工学における原理や応用例の解説、回路組立て・実験を安全に遂行するための実習指導を行う。"
1. 医用機器に用いられている素子の特性を電子計測機器により計測することができる。
2. 電子計測機器の使用方法を理解し、適切に使用できる。
3. 医用機器の特性を計測することで、機器の適切な使用方法について説明できる。
実験結果報告書(10%)、レポートにおける検討課題(35%)、実習中の口頭試問(35%)、期末試験(20%)の結果によって判定する。
【授業時間外に必要な学習時間:3時間】
予習
本実習は、医用工学概論の講義と連携して行うので、それぞれの講義内容を理解しておくこと。また実習書に目を通して実習内容の概要を把握しておくこと。
復習
実習終了後に、該当する範囲の医用工学概論の講義内容を確認すること。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
---|---|---|---|
教科書 | 医用工学実習書(大学より配布) | 北里大学医療衛生学部編 | |
参考書 | 医用工学概論 | 嶋津秀昭ほか | 医歯薬出版 |
参考書 | 情報科学 | 松戸隆之 | 医歯薬出版 |
科目ナンバリングコード: ML204-SF13