科目責任者 | 久保 誠 |
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担当者 | 前花 祥太郎※, 久保 誠※, 伊澤 紘輝※, 中村 正樹※, 林 俊治※, 二本柳 伸※, 小貫 智世※, 竹原 一明※, 金 倫基※ |
科目概要 | 2年 (4単位・必修) [医療検査学科] |
微生物検査は感染症の診断および治療において必要不可欠の検査である。微生物検査を行うに当たっては,その対象である「微生物」の生物学的特徴を熟知する必要がある。微生物検査学では各種微生物の性質・機能を学ぶ「基礎微生物学」から,感染症の診断・治療を学ぶ「臨床微生物学」までを取り扱う。微生物学の基礎知識を礎とし,微生物検査を実践するのに相応しい知識・教養を身に付けることを目標とする。
この科目は学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)の①②③に関連する。
【教育内容】
前期は細菌学,後期はウイルス学を中心に講義を行う。細菌学総論ではすべての細菌に共通する性状,すなわち細菌の生物学,遺伝学,病原性,感染症の治療と予防について学ぶ。細菌学各論では個々の細菌について,その細菌が引き起こす感染症および検査法を中心に学ぶ。ウイルス学ではウイルス感染の機構,生体防御の概念を理解し,ウイルス感染症やウイルスによる発がんについて知識を深める。その他に,検査材料別の微生物検査法や病原真菌学について講義を行う。
【教育方法】
授業形態:講義
教科書の内容について、PowerPointスライド等を使用して講義を行う。Google formなどを利用したミニクイズ(小テスト)を行う。補足資料やミニクイズの解答はGoogle classroomに、定期試験開始までに掲載する。
【フィードバック】
授業始めの10分間で小テストを実施し、前回の内容の振り返りを行う。解答後に解説を示すことにより理解を深める。必要であれば、第15回と第30回の際に解説する。
回 | 項目 | 授業内容 | 担当者 | 日時 |
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第1回 | 【対面】 微生物学序論 (微生物学・臨床微生物学とは) | 微生物学・臨床微生物学とはどのような学問かを微生物学の歴史を通じて学ぶ。 | 久保 誠 | 4/10② |
第2回 | 【対面】 細菌学総論① (細菌の形態と構造) (細菌の観察法と染色法) | 細菌の形態学的特徴(大きさ、染色性、構造物)について学び,細菌を染色・観察する方法を知る。 | 前花 祥太郎 | 4/17② |
第3回 | 【対面】 細菌学総論② (細菌の代謝と発育) (細菌の発育と培養) | 細菌の代謝と発育について学び,細菌を培養する方法を知る。 | 前花 祥太郎 | 4/24② |
第4回 | 【対面】 細菌学総論③ (細菌の遺伝学) | 細菌におけるDNAの複製や形質発現,プラスミドについて学ぶ。 | 久保 誠 | 5/8② |
第5回 | 【対面】 細菌学総論④ (細菌の病原性Ⅰ) (滅菌と消毒) | 正常細菌叢,外毒素と内毒素,滅菌および消毒について学ぶ。 | 久保 誠 | 5/15② |
第6回 | 【対面】 細菌学総論⑤ (細菌の病原性Ⅱ) | 微生物の病原性に関係する因子について学ぶ。新興感染症と再興感染症,人獣共通感染症についても触れる。 | 金 倫基 | 5/22② |
第7回 | 【対面】 細菌学総論⑥ (細菌の化学療法I) | 化学療法の概念,薬剤感受性検査,抗菌薬の種類と特徴について学ぶ。 | 中村 正樹 | 5/29② |
第8回 | 【対面】 細菌学総論⑦ (細菌の化学療法II) | 薬剤耐性菌とその検査法について学ぶ。 | 中村 正樹 | 6/5② |
第9回 | 【対面】 細菌学総論⑧ (感染の予防と対策) | ワクチン,バイオセーフティ,感染防止対策,感染症に関する法律について学ぶ。 | 林 俊治 | 6/12② |
第10回 | 【対面】 細菌学各論① (グラム陽性球菌) | 主なグラム陽性球菌(ブドウ球菌属,レンサ球菌属,腸球菌属)について学ぶ。 | 前花 祥太郎 | 6/19② |
第11回 | 【対面】 細菌学各論② (グラム陰性通性嫌気性桿菌Ⅰ) | 腸内細菌科細菌の定義,分類ならびに同定法について学ぶ。 | 前花 祥太郎 | 6/26② |
第12回 | 【対面】 細菌学各論③ (グラム陰性通性嫌気性桿菌Ⅱ) | 主な腸内細菌科細菌(大腸菌,赤痢菌など)について学ぶ。 | 前花 祥太郎 | 6/27③ |
第13回 | 【対面】 細菌学各論④ (グラム陽性好気性桿菌) (グラム陽性抗酸性桿菌) | 主なグラム陽性桿菌(バシラス属,リステリア属,コリネバクテリウム属),抗酸菌(結核菌,非結核性抗酸菌,ノカルジア属)について学ぶ。 | 久保 誠 | 7/3② |
第14回 | 【対面】 細菌学各論⑤ (グラム陰性通性嫌気性桿菌Ⅲ) (グラム陰性球菌) | 腸内細菌科以外の通性嫌気性グラム陰性桿菌(ビブリオ属,ヘモフィルス属など)について学ぶ。 主なグラム陰性球菌(ナイセリア属,モラクセラ属)について学ぶ。 | 久保 誠 | 7/9③ |
第15回 | 【対面】 細菌学各論⑥ (グラム陰性好気性桿菌) (グラム陰性微好気性らせん菌) | 好気性のグラム陰性桿菌(シュードモナス属など),微好気性のらせん菌(カンピロバクター属,ヘリコバクター属)について学ぶ。 | 前花 祥太郎 | 7/10② |
第16回 | 【対面】 細菌学各論⑦ (嫌気性菌) (スピロヘータ,レプトスピラ) | 偏性嫌気性菌の特徴,主な偏性嫌気性菌(クロストリジウム属など)について学ぶ。また,トレポネーマ属,レプトスピラ属について学ぶ。 | 伊澤 紘輝 | 9/4② |
第17回 | 【対面】 真菌検査学 | 病原真菌の生物学的特徴と検査法について学ぶ。 | 小貫 智世 | 9/11② |
第18回 | 【対面】 ウイルス学総論 (ウイルスの概要と検査法) | ウイルスの大きさや構造、増殖機構、ウイルスに対する免疫応答などを総説し、ウイルス検査法の基礎について学ぶ。 | 久保 誠 | 9/18① |
第19回 | 【対面】 細菌学各論⑧ (マイコプラズマ・リケッチア・クラミジア) | オウム病クラミジア,トラコーマクラミジア,肺炎クラミジア,ツツガ虫病リケッチアなどの生化学的・細菌学的特徴について学ぶ。 | 伊澤 紘輝 | 9/18② |
第20回 | 【対面】 細菌検査学① (細菌検査の概要) | 細菌検査の基本操作,細菌染色法,細菌培養法,細菌の鑑別・同定検査の概要について学ぶ。 | 中村 正樹 | 9/25② |
第21回 | 【対面】 細菌検査学② (細菌検査の手技) | 微生物検査学実習に必要な知識として,グラム染色法,分離培養法,同定検査法などについて学ぶ。 | 前花 祥太郎 | 10/2② |
第22回 | 【対面】 細菌検査学③ (細菌検査の臨床I) | 病院の検査室における細菌検査の概要と薬剤耐性菌について学ぶ。 | 二本柳 伸 | 10/9② |
第23回 | 【対面】 細菌検査学④ (細菌検査の臨床II) | 病院の検査室における検体の採取と保存,検査材料別検査法について学ぶ。 | 二本柳 伸 | 10/16② |
第24回 | 【対面】 ウイルス学各論① (DNAウイルス) | 主なDNAウイルスについて学ぶ。 | 前花 祥太郎 | 10/23② |
第25回 | 【対面】 ウイルス学各論② (RNAウイルス) | 主なRNAウイルスについて学ぶ。 | 前花 祥太郎 | 10/30② |
第26回 | 【対面】 ウイルス学各論③ (インフルエンザウイルス) | トリインフルエンザウイルスと新型インフルエンザウイルスについて学ぶ。 | 竹原 一明 | 11/6② |
第27回 | 【対面】 ウイルス学各論④ (ウイルスのがん化機構) | ウイルスの増殖機構、癌化機構、免疫からの回避機構などについて学ぶ。 | 久保 誠 | 11/13② |
第28回 | 【対面】 ウイルス学各論⑤ (DNA腫瘍ウイルス) | パピローマウイルス,EBウイルスなどによるDNA腫瘍ウイルスによる癌化機構について理解する。 | 久保 誠 | 11/20② |
第29回 | 【対面】 ウイルス学各論⑥ (RNA腫瘍ウイルス) | HIVとHTLVなどによるレトロウイルス感染メカニズム、HTLVの癌化機構とHIVによる免疫不全症について学ぶ。 | 久保 誠 | 11/27② |
第30回 | 【対面】 微生物学検査学のまとめ | 微生物検査学を総括し,全体を通しての重要事項を学ぶ。 | 久保 誠 前花 祥太郎 伊澤 紘輝 | 12/4② |
◆実務経験の授業への活用方法◆
病院微生物検査室ならびに研究所での実務経験を踏まえて,各種病原細菌の同定方法を講義する。
各種微生物(細菌,ウイルス,真菌)の基本的な特性を知り,微生物の生物学的特徴(形態,生理,遺伝など)を説明できる。また,微生物の病原性,滅菌・消毒,化学療法ならびに薬剤耐性菌を知ることにより,感染症の予防や治療への応用が出来るようになる。各々の病原微生物の培養法や同定法などを知り,微生物検査学実習において実践できる。北里柴三郎ゆかりの大学に学ぶものとして恥ずかしくない微生物学の素養を養ってもらいたい。
定期試験(前期45%,後期45%)、受講態度(10%)によって評価する。毎回の講義で行う小テスト(ミニクイズ)により出席状況や受講態度を確認する。試験成績や出席状況によってはレポート課題もしくは口頭試問を課すことがある。遅刻等は減点の対象とする。
予習:事前に教科書に軽く目を通し,その日の講義で扱う内容を把握しておくこと。(時間の目安:10分)
復習:講義プリントを見直し,理解不十分である項目があれば,教科書を読んで内容をしっかり理解すること。(時間の目安:30分〜1時間)
復習の際に理解できないことがあれば,教員に質問するなどして疑問点を解決すること。
【授業時間外に必要な学習時間:120時間】
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 最新臨床検査学講座 臨床微生物学 | 松本哲哉 編 | 医歯薬出版 |
参考書 | 戸田新細菌学 | 吉田眞一 編 | 南山堂 |
参考書 | 医科細菌学 | 笹川千尋、林 哲也 編 | 南江堂 |
参考書 | 標準微生物学 | 中込 治、神谷 茂 編 | 医学書院 |
科目ナンバリングコード: ML301-SS09