科目責任者 | 長塩 亮 |
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担当者 | 長塩 亮※, 朽津 有紀, 今井 基貴 |
科目概要 | 2年 (2単位・必修) [医療検査学科] |
近年の急速な遺伝子解析技術の進歩とそれによる各種疾患遺伝子の解明により、多くの疾患が遺伝子検査できるようになって来た。近い将来、遺伝子検査学は臨床検査の重要な分野を占めるであろうし、その知識は臨床検査技師には必要不可欠になると思われる。その基本となる技術の原理、理論ならびに遺伝子検査可能な代表的疾患などについて理解する。
この科目は学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)の①②③に関連する。
【教育内容】
遺伝子検査に必要な染色体や遺伝子の基礎知識、特定の遺伝性疾患や腫瘍の診断のための染色体検査や遺伝子検査、細菌・ウイルスなどの病原微生物の検出のための遺伝子検査、これらの検査に必要な遺伝子工学の知識等について講義する。
【教育方法】
授業形態:講義
講義は教科書および配布資料を基に行う。また、パワーポイントによるスライドを用いた説明を行い、講義内容をより理解してもらう。
【フィードバック】
講義終了後に、それまでの講義内容に関した小テストを実施し、小テスト終了後には答え合わせと共に開設することでフィードバックを行う。小テストの結果で各自学習度合いを必ず確認する。小テスト問題は回収せず、復習用資料として活用する。
回 | 項目 | 授業内容 | 担当者 | 日時 |
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第1回 | 【対面】 遺伝子関連検査①(検体の取り扱い、核酸の抽出、遺伝子検査に用いる機器類) | ・検体の取り扱いについて学ぶ。 ・DNA,RNAを対象とした核酸抽出法および濃度測定法を理解する。 ・遺伝子関連検査に用いる機器の保守管理について説明できる。 | 長塩 亮 | 9/5① |
第2回 | 【対面】 遺伝子関連検査②(PCR法、RT-PCR法、電気泳動法) | ・PCR法とRT-PCR法の原理から手順、結果の解釈まで説明できる。 | 長塩 亮 | 9/12① |
第3回 | 【対面】 染色体検査の基本①(培養法、染色体標本作製法、各種分染法、および核型) | ・染色体検査を行うための各検体に応じた培養法、染色体標本作製法及び各種分染法を理解し、説明できることを目的とする。 ・核型の作製法や核型異常の記載法を理解する。 | 今井 基貴 | 9/19① |
第4回 | 【対面】 遺伝子の基礎知識①(細胞の構造と機能、体細胞分裂と減数分裂) | ・細胞の構造と機能、接着について理解する。 ・細胞分裂と細胞周期について理解し、説明出来ることを目的とする。 ・体細胞分裂と減数分裂における染色体の分離様式の違いについて理解する。 | 朽津 有紀 | 9/26① |
第5回 | 【対面】 遺伝子の基礎知識②(核酸、遺伝子、転写、翻訳) | ・核酸や遺伝子の構造と機能について理解する。 ・DNAの複製について理解する。 ・遺伝情報の伝達と発現(転写・翻訳)について理解し、説明出来ることを目的とする。 | 朽津 有紀 | 10/3① |
第6回 | 【対面】 染色体の基礎①(染色体の構造、染色体地図・遺伝子マッピング、X染色体の不活化現象) | ・染色体の構造について理解する。 ・染色体地図と遺伝子マッピング法について理解する。 ・X染色体の不活化現象を説明できる。 | 今井 基貴 | 10/10① |
第7回 | 【対面】 染色体の基礎②(染色体異常、ゲノムインプリンティング) | ・染色体の数的異常や構造異常、安定性について理解する。 ・親の性差による遺伝子発現の違い(ゲノムインプリンティング)について理解する。 | 今井 基貴 | 10/17① |
第8回 | 【対面】 遺伝子関連検査③(検査の種類、サザンブロット法、ノザンブロット法、リアルタイムPCR法、デジタルPCR法) | ・サザンブロット法やノーザンブロット法の原理と操作手順を説明できる。 ・リアルタイムPCR法の原理と手技を理解する。 ・デジタルPCR法の原理と操作手順を理解する。 | 今井 基貴 | 10/24① |
第9回 | 【対面】 遺伝子関連検査④(シークエンス解析、マイクロサテライト解析、次世代シークエンス法、診療における遺伝子関連検査) | ・シークエンス解析、マイクロサテライト解析、NGS法などの検査法について理解する。 ・診療における遺伝子関連検査(感染症、遺伝性疾患、個人識別、精度管理法)について説明できる。 | 今井 基貴 | 10/30③ |
第10回 | 【対面】 遺伝子関連検査⑤(PCR以外の核酸増幅法、FISH法、マイクロアレイ法) | ・PCR以外の核酸増幅法であるLAMP法やTMA法の原理と手順を理解する。 ・FISH法の原理や手順、用途について説明できる。 ・マイクロアレイ法(アレイCGH法やSNPアレイ)の原理、並びに検査目的について理解する。 | 朽津 有紀 | 11/7① |
第11回 | 【対面】 染色体検査の基本②(先天性染色体異常) | ・様々な先天性染色体異常疾患について理解する。 | 長塩 亮 | 11/14① |
第12回 | 【対面】 染色体検査の基本③(後天性染色体異常、核型進化) | ・後天性染色体異常疾患(がんなど)について理解する。 ・核型進化について説明できる。 | 長塩 亮 | 11/21① |
第13回 | 【対面】 遺伝子診療における臨床検査①(遺伝子診断の基礎) | ・遺伝型や表現型、バリアントについて理解できる。 ・遺伝の法則や形式を説明できる。 ・家系図の書き方や遺伝カウンセリングの必要性について理解する。 | 朽津 有紀 | 11/28① |
第14回 | 【対面】 遺伝子診療における臨床検査②(遺伝子診断と遺伝子治療) | ・各種遺伝子診断の種類やファーマコゲノミクス、コンパニオン診断、がんゲノム医療について説明できる。 ・遺伝子治療の方法や治療法の問題点について説明できる。 | 長塩 亮 | 12/5① |
第15回 | 【対面】 遺伝学的検査と倫理的課題(移植・再生医療、遺伝学的検査と倫理) | ・移植・再生医療の現状について理解する。 ・遺伝学的検査の実施方法とそれに関わる倫理指針を理解する。 | 朽津 有紀 | 12/12① |
◆実務経験の授業への活用方法◆
遺伝子検査の手法についての実務経験を踏まえ、各種遺伝子検査法の意義や実際にどのように展開されるのかについての研究体験などを随時織り込む。
遺伝子検査に関する様々な基礎知識について具体的に説明できる。遺伝子、染色体に関する各種疾患について理解し、適切な検査法を説明出来る。
受講態度(10%)と定期試験(90%)により評価する。
*講義内容に関する小テストを実施し、解説を行う。小テストの成績は評価基準には含めない。
【授業時間外に必要な学習の時間:60時間】
シラバスには講義内容が記載されているので、教科書や参考書を読み予習しておくこと。毎回の講義に使用するプリントには学習の要点が記載されているので、講義終了後には配布資料や教科書を用いて必ず復習を行うこと。また、次回の講義の際に前回の内容に関連する小テストを行うので、学習の理解度を確認し、足りない部分はさらに復習すること。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 遺伝子・染色体検査学 | 奈良信雄 | 医歯薬出版 |
参考書 | 遺伝子検査学 | 菅野剛史、松田信義 | 医学書院 |
参考書 | 遺伝子検査学 | 有波忠雄、太田敏子、清水淑子、福島亜紀子、三村邦裕 | 近代出版 |
科目ナンバリングコード: ML301-SS07