科目責任者 | 松本 俊英 |
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担当者 | 高橋 博之※, 松本 俊英※ |
科目概要 | 2年 (1単位・必修) [医療検査学科] |
病理組織標本を作製するための基本的な技術を習得する。さらに講義内容に関連した肉眼標本、病理組織標本を観察し、疾患を実像として理解する。
この科目は学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)の①②③に関連する。
【教育内容】
標本鏡検実習では、各臓器の代表的な疾患の組織レベルでの変化を観察し、病態を理解する。また、各疾患の病理診断根拠となる組織所見を理解する。
病理技術実習では、組織観察にとって必須の各種染色法の実際を理解し、実践する。
【教育方法】
授業形態:実習・実技
また、各疾患の病理診断根拠となる組織所見および染色技術について解説する。染色実技と鏡検の実習形式。
【フィードバック】
フィードバックは、実習中の質問に対して解説を行う。実習中の病理標本のスケッチは実習試験開始前に回収し、採点後に返却する。
回 | 項目 | 授業内容 | 担当者 | 日時 |
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1回 | 【対面】 標本鏡検(1)-1 細胞傷害:変性 | 細胞の変性・壊死(標本Ⅰ-1):亜急性リンパ節炎のHE標本を観察し、細胞死の組織像を観察する。 脳梗塞(標本Ⅰ-2):脳の橋の梗塞による融解壊死像および組織反応を観察する。 | 高橋 博之 松本 俊英 | 11/18③ |
2回 | 【対面】 標本鏡検(1)-2 細胞傷害:壊死 | リンパ節の乾酪壊死(標本Ⅰ-3):結核性リンパ節炎の標本により、類上皮細胞肉芽腫、乾酪壊死、ラングハンス巨細胞を観察する。 脂肪肝(標本Ⅰ-4):大量飲酒により発生した肝の脂肪変性を観察する。 | 高橋 博之 松本 俊英 | 11/18④ |
3回 | 【対面】 標本鏡検(2) 障害に対する反応 | 肉芽組織(標本Ⅱ-1):肉芽組織を構成する毛細血管、線維芽細胞を観察する。 瘢痕(標本Ⅱ-2):肉芽組織からどのように瘢痕に推移したかを理解する。 肝のうっ血(標本Ⅲ-1):右心不全により肝臓に高度のうっ血をきたしていることを組織を通して理解する。 新鮮血栓(標本Ⅲ-2):線維素による血栓形成を観察する。 | 高橋 博之 松本 俊英 | 11/18⑤ |
4回 | 【対面】 標本鏡検(3)-1 循環障害 | 器質化しつつある血栓(Ⅲ-3):器質化とは何か、を標本を通して理解する。 日本住血吸虫卵の塞栓(標本Ⅲ-4):虫卵の形態、および虫卵はどこに詰まっているかを理解する。 | 高橋 博之 松本 俊英 | 11/19③ |
5回 | 【対面】 標本鏡検(3)-2, (4)-1 循環障害:梗塞、 炎症:急性、特異性 | 急性心筋梗塞(標本Ⅲ-6):心筋線維の壊死像、出血、好中球浸潤を観察する。 肺出血性梗塞(標本Ⅲ-8):何故、このような病変が出現するかを標本を通して理解する。 皮膚膿瘍(標本Ⅳ-1):膿瘍とは何かを、この標本を通して理解する。 異物性炎(標本Ⅳ-2):異物に対する組織反応を観察する。 橋本病(標本Ⅳ-4):この標本を通して、橋本病の病態を理解する。また、形質細胞の特徴を観察する。 | 高橋 博之 松本 俊英 | 11/19④ |
6回 | 【対面】 標本鏡検(4)-2 炎症:感染症 | アスペルギルス症、カンジタ症(標本Ⅳ-6-1):アスペルギルス菌体、カンジダ菌体をグロコット染色標本で観察すると共に、HE染色標本でも認識できるかどうかを自分の目で確かめてみる。 巨細胞性封入体症(Ⅳ-7):肺のどの細胞に見られるかを観察する。 | 高橋 博之 松本 俊英 | 11/19⑤ |
7回 | 【対面】 標本鏡検(4)-3, (5) 代償機構 | リウマチ熱・心(標本Ⅳ-8):この標本を通してアショフ小体とは何かを理解する。 心筋肥大、褐色萎縮(標本Ⅴ-1,2):両者を比較しながら、心筋肥大と委縮は何が違うかを理解する。 | 高橋 博之 松本 俊英 | 11/20③ |
8回 | 【対面】 標本鏡検(6)-1 腫瘍:腺腫、腺癌 | 腺腫、腺癌(標本Ⅵ-1,2):両者を比較しながら腺腫と腺癌の相違を理解する(細胞異型、構造異型、周囲との境界、浸潤、リンパ管侵襲などについて) | 高橋 博之 松本 俊英 | 11/20④ |
9回 | 【対面】 標本鏡検(6)-2 扁平上皮癌 | 扁平上皮癌(標本Ⅵ-3):この標本を通して、扁平上皮癌の特徴(特に角化)、腺癌との相違を理解する。 骨肉腫(標本Ⅵ-4):この標本を通して、肉腫とは何か、腫瘍細胞の配列、形態の特徴、類骨について理解する。 | 高橋 博之 松本 俊英 | 11/20⑤ |
10回 | 【対面】 標本鏡検(6)-3 奇形腫 | 奇形腫(標本Ⅵ-5-1):この標本を通して、 奇形腫とは何かを理解する。また、標本中に見られる組織要素は外・中・内胚葉のいずれの由来かを識別する。 胞状奇胎(標本Ⅵ-5-2):この標本を通して、胞状奇胎とは何か、を理解する。また、正常の絨毛と胞状奇胎の絨毛の組織上の相違を認識する。 | 高橋 博之 松本 俊英 | 11/21③ |
11回 | 【対面】 標本鏡検(6)-4 リンパ腫 | 濾胞性リンパ腫(標本Ⅵ-7):弱拡大の特徴を理解する。次いで、腫瘍細胞の形態的特徴を認識する。 ホジキン病(標本Ⅵ-8):ホジキン細胞、リード・ステルンベルグ細胞を観察する。また、背景の細胞について理解する。 | 高橋 博之 松本 俊英 | 11/21④ |
12回 | 【対面】 標本鏡検(6)-5 肝腫瘍 | 肝海綿状血管腫(標本Ⅵ-9):この標本を通して良性非上皮性腫瘍の特徴を理解する。 肝細胞癌(標本Ⅵ-10):周囲との境界、腫瘍細胞の配列、細胞形態の特徴を観察する。また、非腫瘍部の組織所見についても注目する。 | 高橋 博之 松本 俊英 | 11/21⑤ |
13~14回 | 【対面】 病理技術(1)-1 包埋、薄切、凍結切片 | パラフィン包理、薄切、凍結切片:パラフィン包埋は実際にどのような手順で行われるかをデモを通して理解する。パラフィンブロックを薄切するためのミクロトームの扱い方、凍結切片作製のためのクリオスタットの操作、凍結切片はどのような時に必要か、を実技を通して理解する。 | 高橋 博之 松本 俊英 | 11/25③④ |
15回 | 【対面】 病理技術(1)-2 薄切 | 薄切:ミクロトームの種類、引き角、逃げ角を理解し、切片の不良はどのような原因で起こるか、またその対策を考える。 凍結切片:ミノー型の構造、扱い方を理解する。また、凍結切片を作製するにあたっての適応、長所、短所を考える。 | 高橋 博之 松本 俊英 | 11/25⑤ |
16回 | 【対面】 病理技術(2)-1 HE染色 | HE染色:病理組織標本作成の基本であるHE染色について、その原理、どのような試薬が使われているか、染色時間、染め上がりについて理解する。また、実際に染色した標本について期待された染色態度が得られているかどうかをチェックする。 | 高橋 博之 松本 俊英 | 11/26③ |
17~18回 | 【対面】 病理技術(2)-2 特殊染色:Azan染色 | AZAN染色1日目:この染色は何を見るために行うか、また、試薬(アゾカルミンG液、リンタングステン酸、アニリン青・オリンジG混合液など)はどのような目的で使われるかを理解する。 | 高橋 博之 松本 俊英 | 11/26④⑤ |
19回 | 【対面】 病理技術(3)-1 特殊染色:PAS | PAS染色:この染色は何を見るために行うか、また、試薬(過ヨウ素酸、シッフ試薬、亜硫酸水など)はどのような目的で使われるかを理解する。 | 高橋 博之 松本 俊英 | 11/27③ |
20~21回 | 【対面】 病理技術(3)-2 EVG染色 | EVG染色:この染色は何を見るために行うか、また、試薬(レゾルシン・フクシン液、鉄ヘマトキシリン液、ワンギーソン液など)はどのような目的で使われるかを理解する。 | 高橋 博之 松本 俊英 | 11/27④⑤ |
22回 | 【対面】 病理技術(4)-1 特殊染色:鉄染色 | 鉄染色:ベルリン青染色により3価の鉄を染める。原理、染め上がり、この染色を行う意義をよく理解する。また、核染色に使う染色液についても知っておく必要がある。 | 高橋 博之 松本 俊英 | 11/28③ |
23~24回 | 【対面】 病理技術(4)-2 アミロイドーシスの染色 | コンゴーレッド染色:この染色は何を見るために行うか、また、試薬(アルカリ・アルコール液、コンゴ-赤液など)はどのような目的で使われるかを理解する。 | 高橋 博之 松本 俊英 | 11/28④⑤ |
25~26回 | 【対面】 病理技術(5)-1 脂肪染色 | ズダンIII染色:どのような時に脂肪染色を行う必要があるかを理解する。また、切片、封入剤は通常のパラフィン切片のときと何が違うかを考える。 | 高橋 博之 松本 俊英 | 12/2③④ |
27回 | 【対面】 病理技術(5)-2 免疫染色法 | 免疫染色:何を検出するためにこの染色を行うか、また、試薬(過酸化水素、クエン酸緩衝液など)はどのようなどのような目的で使われるか、を理解する。 | 高橋 博之 松本 俊英 | 12/2⑤ |
28~29回 | 【対面】 病理技術(5)-3 免疫染色法 | 免疫染色:酵素抗体法について理解し、染色結果を遺伝子検査結果と統合的に解釈する。 | 高橋 博之 松本 俊英 | 12/3③④ |
30回 | 【対面】 試験 | 試験 | 高橋 博之 松本 俊英 | 12/3⑤ |
◆実務経験の授業への活用方法◆
病院等での病理診断経験を踏まえ、疾患の病理組織所見ならびに各種染色の評価法を概説する。
大学での医療技術者としての経験を踏まえ、病理診断における病理検査の意義および実際の標本作製、各種染色法を概説する。
研究機関等での経験を踏まえ、疾患の病理組織所見ならびに各種染色の評価法を概説する。
1.組織標本作製の原理を理解し、自分で標本を作製できるように基本的技術を習得する。
2.主な病気の病理組織像を理解する。
実習試験(80%, (標本鏡検40%, 病理技術40%))、スケッチ(20%)
予習:あらかじめ病理実習テキストに目を通し、染色の原理、手順、標本観察のポイントをつかんでおく。教科書や病理検査学の講義資料で知識の確認を行う。
復習:顕微鏡を有効活用し、病理組織標本の観察や免疫組織化学染色・特殊染色結果の確認を行う。また作成したレポートをもとに実習試験の勉強に役立てる。
【授業時間外に必要な学習時間:0時間】
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 病理実習テキスト | 北里大学医療衛生学部編 | 教員より配布 |
教科書 | 臨床検査学講座 病理学/病理検査学 | 松原修、ほか編 | 医歯薬出版 |
参考書 | 病理標本の作り方 | 病理技術研究会編 | 文光堂 1992 |
参考書 | 最新 染色法のすべて | 月刊Medical Technology 別冊 | 医歯薬出版 2011 |
参考書 | 組織病理アトラス | 小池盛雄、ほか編 | 文光堂 2005 |
科目ナンバリングコード: ML304-SS04