科目責任者 | 川上 文貴 |
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担当者 | 川上 文貴※, 大場 謙一※, 大槻 健蔵※ |
科目概要 | 2年 (2単位・選択) [保健衛生学科] |
環境中の有害化学物質(ダイオキシン、多環芳香族類、ホルムアルデヒド、カドミウムなど)は、ヒトの健康の多くの面に悪影響を与え、慢性疾患やガンを発生させる可能性がある。ヒトへの有害化学物質の曝露は、遺伝子レベルで健康に影響するため、その影響を防ぐまたは抑えるには、遺伝学や遺伝子についての知識が必要である。さらに、有害化学物質に対する影響の度合い(感受性)は、個人差があり、その原因の一つは遺伝要因(遺伝子の多型性等)であることが解ってきた。遺伝子の多型性は、個人間の遺伝子の「塩基配列の違い」で、その違いにより化学物質などに対する感受性が異なる。
本科目は、遺伝子レベルにおいて化学物質の生体への影響及び遺伝子の多型性等を理解するために基礎的な分子生物学の知識を習得する。更にこれらの知識が、有害化学物質曝露による疾病の予防につながることを理解する。
この科目は学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)の2年(環境)②に関連する。
【教育内容】
分子予防環境医学の基礎知識として分子生物学と遺伝子工学に関する基礎的な知識を学習する。さらに生活習慣病、癌などの解析に関して例を挙げながら、どのようにして遺伝子についての研究が産業衛生に応用発展されるかを紹介する。
【教育方法】
授業形態:講義
講義は基本的に講義形式であり、パワーポイントを利用して行う。学生から出た質問は講義内でフィードバックし、必要な場合には次回の講義で振り返りを実施する。
回 | 項目 | 授業内容 | 担当者 | 日時 |
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第1回 | 【対面】 産業衛生における分子生物学 | 産業衛生分野における分子生物学の意義を理解し、遺伝、遺伝子等について解説する。 | 川上 文貴 | 9/4③ |
第2回 | 【対面】 遺伝物質(1) 遺伝子 | DNAの構造、複製、転写等について解説する。 | 川上 文貴 | 9/11③ |
第3回 | 【対面】 遺伝医学 | 遺伝カウンセリングについて解説する | 大場 謙一 | 9/25② |
第4回 | 【対面】 遺伝物質(2) 転写調節 | 遺伝子の転写調節、修復、突然変異等について解説する。 | 川上 文貴 | 9/25③ |
第5回 | 【対面】 分子疫学(1) 重金属 | 遺伝子損傷性の金属等について解説する。 | 大場 謙一 | 10/2② |
第6回 | 【対面】 細胞の分子生物学(1) 情報伝達 | 細胞の情報伝達として、シグナル伝達等について解説する。 | 川上 文貴 | 10/2③ |
第7回 | 【対面】 遺伝情報学 | ネット上にある遺伝子データベースを活用して目的とする遺伝子の検索方法を習得する。 | 大場 謙一 | 10/16② |
第8回 | 【対面】 分子疫学(2) 内分泌攪乱物質 | 内分泌攪乱物質よる遺伝子への影響及び薬物代謝酵素遺伝子等について解説する。 | 大場 謙一 | 10/23② |
第9回 | 【対面】 過剰な食品添加物、農薬、化粧品や人工香料などの危険性と発がん作用 | 食品添加物や農薬による発がん作用について学ぶ。 | 大槻 健蔵 | 10/30② |
第10回 | 【対面】 薬の分子生物学 | 細胞の情報伝達において受容体の役割について解説する。 | 川上 文貴 | 11/13② |
第11回 | 【対面】 病気の分子生物学 | 遺伝病、遺伝子の多型性等について解説する。 | 川上 文貴 | 11/20② |
第12回 | 【対面】 遺伝子工学(1) 遺伝子組換え | 遺伝子工学手法のDNAのクローニング、塩基配列決定等について解説する。 | 川上 文貴 | 11/27② |
第13回 | 【対面】 遺伝子工学(2) 遺伝子の増幅 | 遺伝子工学的手法のPCRの原理と応用、電気泳動等について解説する | 川上 文貴 | 12/4② |
第14回 | 【対面】 分子疫学(3) 生活習慣病 | 生活習慣病、喫煙、飲酒、肥満等に関連する遺伝子について解説する。 | 川上 文貴 | 12/11② |
第15回 | 【対面】 分子疫学(4) がん | がんに関与する遺伝子について解説する。 | 川上 文貴 | 12/18② |
◆実務経験の授業への活用方法◆
国内や国外の大学・研究所での研究経験を踏まえ、生化学を基礎とするライフサイエンス領域の研究成果が人体を理解する上でどのように役立っているか概説する。
分子生物学や遺伝子工学の基礎的な知識をよく理解し、これらの知識が有害化学物質の曝露によって生じる健康障害の予防に役立つことを理解し、説明ができる。
到達度確認試験(100%)により、受講者の知識が到達目標に達しているかを総合的に評価する。
【授業時間外に必要な学習の時間: 60 時間】
事前に、参考書を利用して、授業内容に書いてある言葉を調べておくこと。参考書、講義資料を用いて、講義内容を理解するために復習を行うこと。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 適宜プリントを配布する。 | ||
参考書 | 分子予防環境医学 | 分子予防環境医学研究会編 | 本の泉社 |
参考書 | はじめの一歩のイラスト生化学・分子生物学 | 前野・磯川著 | 洋土社 |
参考書 | 分子生物学イラストレイテッド | 田村・山本編 | 洋土社 |
参考書 | 医薬 分子生物学 | 野島著 | 南江堂 |
科目ナンバリングコード:HS301-EP21