科目責任者 | 川村 俊彦 (※) |
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担当者 | 川村 俊彦 (※), 久保 誠 (※), 太田 悦朗 (※) |
科目概要 | 3年 (2単位・必修) [医療検査学科] |
臨床検査技師として免疫検査を行うためには、検査手技の方法を機械的に記憶するのではなく、検査の原理・背景を理解した上で検査を行うことが求められる。そのために必要な免疫学の基礎を、しっかりと理解し学ぶことが必要である。免疫検査学IIでは、免疫検査学Iで学んだ免疫学の基本をもとに、疾患の範囲を更に広げ(臓器移植・癌・免疫不全症・自己免疫疾患等)、それらの病態・検査方法を学ぶとともに、免疫および輸血に関する具体的な検査手技・方法およびその原理を学ぶ。
この科目は学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)の①②③に関連する。
【教育内容】
免疫検査の基本である試験管内抗原抗体反応について解説する。免疫反応が関与する疾患(臓器移植・癌・免疫不全症・自己免疫疾患)の病態、検査方法及びその原理について学ぶ。また、輸血の際に必要な免疫検査方法について、その検査方法及びその原理について解説する。免疫検査学実習と密接に関連させながら講義を進める。国家試験の頻出問題についての解説も行う。授業は、講義形式(パワーポイントおよび板書による説明)により進める。
【教育方法】
授業形態:講義
授業は、主に講義形式(パワーポイントおよび板書による説明)により進める。講義時間内に10分間程度の小テストを行うことがある。また、課題を与え、レポートを提出してもらうことがある。提出されたレポートに対しては、コメントを記載し、定期試験前に返却する。
回 | 項目 | 授業内容 | 担当者 | 日時 |
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第1回 | 【対面】試験管内抗原抗体反応-1 沈降反応 | 沈降反応の原理およびそれに基づく検査法について学ぶ。 | 久保 誠 | 4/6② |
第2回 | 【対面】試験管内抗原抗体反応-2 凝集反応、溶解反応、中和反応 | 凝集反応、溶解反応、中和反応の原理およびそれらに基づく検査法について学ぶ。 | 久保 誠 | 4/20② |
第3回 | 【対面】試験管内抗原抗体反応-3 試験管内抗原抗体反応に関する機器 | 標識抗原抗体反応、抗原抗体反応の機器測定およびそれらに基づく検査法について学ぶ。 | 久保 誠 | 4/27② |
第4回 | 【対面】試験管内抗原抗体反応-4 FCM, WB | フローサイトメトリー(FCM)、ウエスタンブロット(WB)法の原理とそれらを用いた検査法について学ぶ。 | 久保 誠 | 5/11② |
第5回 | 【対面】血清タンパク異常症 | 免疫グロブリン、その他の血清タンパク質異常の病態、検査法、検査値について学ぶ。 | 久保 誠 | 5/18② |
第6回 | 【対面】移植免疫 (臓器移植) | 移植の種類、移植の副作用、拒絶反応のメカニズム、拒絶反応を抑える方法について学ぶ。 | 川村 俊彦 | 5/25② |
第7回 | 【対面】腫瘍と免疫 | 腫瘍に対する免疫反応、代表的な腫瘍マーカーについて学ぶ。 | 川村 俊彦 | 6/1② |
第8回 | 【対面】免疫不全症 | 先天性免疫不全症、後天性免疫不全症の原因、病態、検査法について学ぶ。 | 川村 俊彦 | 6/8② |
第9回 | 【対面】自己免疫疾患-1 (臓器特異的自己免疫疾患) | 臓器特異的自己免疫疾患の病態、自己抗体、検査方法について学ぶ。 | 川村 俊彦 | 6/15② |
第10回 | 【対面】自己免疫疾患-2 (全身性自己免疫疾患) | 全身性自己免疫疾患の病態、自己抗体、検査方法について学ぶ。 | 川村 俊彦 | 6/22② |
第11回 | 【対面】輸血と免疫-1 (同種抗原と同種免疫) | 同種抗原と同種免疫について学ぶ。 | 太田 悦朗 | 6/23① |
第12回 | 【対面】輸血と免疫-2 (ABO血液型) | ABO血液型の検査法について学ぶ。ABO亜型や新生児血液の特徴も学ぶ。 | 太田 悦朗 | 6/29① |
第13回 | 【対面】輸血と免疫-3 (Rh血液型) | Rh血液型とその他の血液型の種類、検査法を学ぶ。 | 太田 悦朗 | 6/29② |
第14回 | 【対面】輸血と免疫-4 (血液製剤、血液型不適合妊娠) | 血液製剤の種類・保存法・保存期間を学ぶ。また血液型不適合妊娠について学ぶ。 | 太田 悦朗 | 7/6② |
第15回 | 【対面】輸血と免疫-5 (輸血前検査、輸血副作用および合併症) | 輸血前に行う検査法について学ぶ。また、輸血に伴う副作用や合併症について学ぶ。 | 太田 悦朗 | 7/13② |
◆実務経験の授業への活用方法◆
医師および研究者としての免疫検査に関する実務経験を活かし、免疫検査の原理・背景に重点を置いて概説する。
・免疫検査の基本である試験管内抗原抗体反応について、それらの反応・試験の種類を列挙することができ、その原理を説明できる。
・臓器移植の際の拒絶反応を免疫学的に説明できる。
・癌に対する免疫反応を説明できる。
・代表的な腫瘍マーカーを列挙し、どの癌のマーカーであるかを説明できる。
・代表的な先天性免疫不全症を列挙し、それぞれにおいてどの免疫機能が障害されているかを説明できる。
・自己免疫疾患を、臓器特異的自己免疫疾患と全身性自己免疫疾患に分類できる。
・自己免疫疾患で検出される自己抗体を、疾患別に列挙できる。
・輸血に必要な検査方法を列挙し、その原理を説明できる。
学習の到達目標としては、臨床検査技師国家試験の免疫学分野の問題の正答率が80%以上になることを目標とする。
主に定期試験の成績によって評価を行うが、状況によっては、授業中に行われる小テストの成績(最大で20%程度)、提出されたレポート、受講態度などを評価の対象とすることがある。
【授業時間外に必要な学習の時間: 60時間】
授業に出席する前は、指定教科書の該当する範囲を読み、予習をすること。その際、理解できなかった点を明らかにしておく。また、講義終了後は、講義で配布したレジュメを中心に、復習をすること。理解できなかった箇所は、積極的に質問することにより解決することを心がける。質問等は大歓迎するので、研究室を気軽に訪れてほしい。また、授業ごとに、復習として、国家試験問題集(2021年版 医歯薬出版社)の免疫学の該当部分の問題を解くこと。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 新版臨床免疫学-第3版 | 宮坂信之、烏山一、浅川英男、山田俊幸編 | 講談社サイエンティフィク |
参考書 | 免疫検査学 | 窪田哲郎他編 | 医師薬出版株式会社 |
参考書 | 2021年版 臨床検査技師国家試験問題集 | 日本臨床検査学教育協議会 編 | 医歯薬出版株式会社 |
参考書 | 免疫検査学 | 折笠道昭編 | 医学書院 |
参考書 | リッピンコットシリーズ イラストレイテッド免疫学 原書2版 | 矢田純一/高橋秀実 監訳 | 丸善出版 |
参考書 | 絵でわかる免疫 | 安保徹 | 講談社 |
科目ナンバリングコード: ML301-SS21