科目責任者 | 川村 俊彦 |
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担当者 | 川村 俊彦 |
科目概要 | 2年 (2単位・必修) [医療検査学科] |
臨床検査技師として免疫検査を行うためには、検査手技の方法を機械的に記憶するのではなく、検査の原理・背景を理解した上で検査を行うことが求められる。そのために必要な免疫学の基礎を、しっかりと理解し学ぶことが必要である。免疫検査学Iでは、具体的な検査方法の手技・原理を学ぶ前に、免疫学の基本を学び、免疫反応を、個体レベル・細胞レベル・分子レベルで理解することを目的とする。
【教育内容】
免疫検査学Iでは、総論として、免疫学の歴史、生体防御反応のしくみ、免疫担当細胞の種類と働き、抗体分子の構造と機能、主要組織適合抗原複合体と抗原提示、細胞表面分子とサイトカイン、補体の性状と生物活性、などについて学ぶ。次いで各論として、感染免疫、アレルギーなどについて学ぶ。
【教育方法】
授業は、主に講義形式(パワーポイントおよび板書による説明)により進める。講義時間内に10分間程度の小テストを行うことがある。授業の進行具合、受講者の理解度などの状況によっては、まとめ(第8回および第15回)の回で、これまで学んだ項目について、グループ別にテーマを与え、プレゼンテーションを行ってもらうことがある。
回 | 項目 | 授業内容 | 担当者 | 日時 |
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第1回 | 【対面】 免疫学とは | 免疫学の歴史、免疫系の役割とその特徴を学ぶ。 | 川村 俊彦 | 9/1② |
第2回 | 【対面】 免疫担当細胞と免疫臓器 | 免疫系の組織・器官、免疫担当細胞について学ぶ。 | 川村 俊彦 | 9/8② |
第3回 | 【対面】 自然免疫と獲得免疫 | 自然免疫と獲得免疫について、それらの特徴や違いについて学ぶ。 | 川村 俊彦 | 9/15② |
第4回 | 【対面】 T細胞 | 獲得免疫の主役であるT細胞について、分化・機能を学ぶ。 | 川村 俊彦 | 9/29② |
第5回 | 【対面】 B細胞 | 獲得免疫の主役であるB細胞について、分化・機能を学ぶ。また、B細胞が産生する抗体(免疫グロブリン)について学ぶ。 | 川村 俊彦 | 10/6② |
第6回 | 【対面】 HLAと抗原提示 | HLAの種類とその分子構造、抗原提示細胞による抗原提示機能、HLA遺伝子とその多型性、疾患との関連を学ぶ。 | 川村 俊彦 | 10/13② |
第7回 | 【対面】 CD分類とサイトカイン | 代表的なCD(Cluster of Differentiation)番号およびサイトカインについて学ぶ。 | 川村 俊彦 | 10/20② |
第8回 | 【対面】 補体 | 補体について、その種類、反応経路、生体防御における役割について学ぶ。 | 川村 俊彦 | 10/27② |
第9回 | 【対面】 まとめ1 | 第1~8回まで学んだ項目について、整理し、他人にわかりやすく説明する。 | 川村 俊彦 | 11/10② |
第10回 | 【対面】 感染免疫 (総論、細菌感染:梅毒、結核) | 感染症の種類、一般的な臨床経過、臨床検査の意義を学ぶ。また、各論では、細菌感染(梅毒および結核)に対する免疫反応、検査方法を学ぶ。 | 川村 俊彦 | 11/17② |
第11回 | 【対面】 感染免疫 (ウイルス感染:ウイルス性肝炎) | ウイルス感染(ウイルス性肝炎)に対する免疫反応、検査方法を学ぶ。 | 川村 俊彦 | 11/24② |
第12回 | 【対面】 感染免疫 (ウイルス感染: AIDS、ATL) | ウイルス感染(AIDS、ATLなど)に対する免疫反応、検査方法を学ぶ。 | 川村 俊彦 | 12/1② |
第13回 | 【オンデマンド】 感染免疫 (ワクチン) | 感染症を予防するためのワクチンの種類とその原理を学ぶ。 | 川村 俊彦 | |
第14回 | 【オンデマンド】 アレルギー | アレルギー(Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型、Ⅳ型)の病態および検査法を学ぶ。 | 川村 俊彦 | |
第15回 | 【オンデマンド】 まとめ2 | 第10~14回まで学んだ項目について、整理し、他人にわかりやすく説明する。 | 川村 俊彦 |
◆実務経験の授業への活用方法◆
医師および研究者としての免疫検査に関する実務経験を活かし、免疫検査の原理・背景に重点を置いて概説する。
・免疫担当細胞および免疫臓器を列挙し、それぞれの機能について説明することができる。
・自然免疫と獲得免疫の違いを説明することができる。
・獲得免疫の中心となるT細胞およびB細胞に関して、どのように抗原を認識するかを説明できる。
・HLA及び抗原提示について説明できる。
・代表的なCD(cluster of differentiation)番号について、それぞれがどのような細胞に発現されるかを説明できる。
・免疫反応を調節するサイトカインについて、代表的なものを列挙し、その機能を説明できる。
・病原体(細菌およびウイルス)に対する免疫反応について説明できる。
・梅毒・結核・ウイルス性肝炎・HIV感染症についての検査法を列挙し、検査データについて説明できる。
・代表的なアレルギー疾患を列挙し、それぞれを発症機序によりI型~IV型の4つの型に分類できる。
定期試験の成績(80%)、授業中に行われる小テスト(20%)により評価するが、状況によっては、提出されたレポート、受講態度などを評価の対象とすることがある。
【授業時間外に必要な学習の時間: 60時間】
授業に出席する前は、指定教科書の該当する範囲を読み、予習をすること。その際、理解できなかった点を明らかにしておく。また、講義終了後は、講義で配布したレジュメを中心に、復習をすること。理解できなかった箇所は、積極的に質問することにより解決することを心がける。質問等は大歓迎するので、研究室を気軽に訪れてほしい。また、授業ごとに、復習として、国家試験問題集(2020年版 医歯薬出版社)の免疫学の該当部分の問題を解くこと。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 新版臨床免疫学-第3版 | 山田俊幸、大戸斉、渥美達也、三宅幸子、山内一由 | 講談社サイエンティフィク |
参考書 | 2020年版 臨床検査技師国家試験問題集 | 日本臨床検査学教育協議会 編 | 医師薬出版株式会社 |
参考書 | 免疫検査学 | 窪田哲郎他 | 医師薬出版株式会社 |
参考書 | 免疫検査学 | 折笠道昭 | 医学書院 |
参考書 | リッピンコットシリーズ イラストレイテッド免疫学 原書2版 | 矢田純一/高橋秀実 監訳 | 丸善出版 |
参考書 | 絵でわかる免疫 | 安保徹 | 講談社 |
参考書 | エッセンシャル免疫学 | 笹月健彦 | メディカルサイエンスインターナショナル |
科目ナンバリングコード: ML301-SS12