科目責任者 | 緒形 雅則 (※) |
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担当者 | 石橋 仁 (※), 緒形 雅則 (※), 小島 史章 (※), 濱田 幸恵 (※), 江藤 圭 (※) |
科目概要 | 2年 (1単位・必修) [健康科学科] |
自然科学における法則や概念は注意深い観察や実験から生まれる。生理学においても同様であり、各実習項目における生体の応答を詳細に観察することによりその背景にある機序を理解する。また生体から得られた結果に対する、まとめ方、適切なグラフ化に関する知識や手法を身につける。
【教育内容】
複数の生体標本を用いて、各種刺激に対する応答性の相違を観察し、生体は生命維持のための極めて精巧な調節機構を有してことを学ぶ。さらにヒトの心電図誘導法について学び、実際の各誘導法による心電図波形を観察し、誘導法の原理を理解する。
【教育方法】
オンデマンド形式で行う。各実習項目に関する実習講義ビデオを提示し、その後の実習ビデオで示される生体反応の機序に関する基礎知識を習得させる。続いて生体標本やヒトを対象とした各種実習をビデオで提示し、それらの生体反応や波形を繰り返し観察することを可能にする。観察した実習内容とその背景にある機序に関するレポートを作成し提出させる。また毎回、各実習項目に関する出席確認試験(小テスト)を行う。
回 | 項目 | 授業内容 | 担当者 | 日時 |
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1~3回 | 【オンデマンド】 ガイダンス | 遠隔実習の概要を理解する。実習で得られた結果の取り扱いと実験動物におけるAnimal rightについて学ぶ。 | 担当者全員 | |
4~6回 | 【オンデマンド】 平滑筋の運動1:アセチルコリン濃度-反応関係 | モルモットの小腸平滑筋に対する各種濃度のアセチルコリンの反応を理解する。得られた結果のグラフ化について学ぶ。 | 担当者全員 | |
7~9回 | 【オンデマンド】 平滑筋の運動2:アゴニストおよびアンタゴニストの作用 | モルモットの小腸平滑筋に対するアセチルコリン受容体のアゴニストおよびアンタゴニストの作用を学ぶことにより、消化管平滑筋運動の制御機構を理解する。 | 担当者全員 | |
10~12回 | 【オンデマンド】 神経筋1:刺激強度と筋収縮強度との関係 | カエルの坐骨神経腓腹筋標本を用いて、単一刺激強度と筋収縮強度との関係を理解する。 | 担当者全員 | |
13~15回 | 【オンデマンド】 神経筋2:強さ-時間曲線と反復刺激に対する反応 | カエルの坐骨神経腓腹筋標本を用いて、刺激持続時間と閾値との関係を理解する。また刺激頻度の変化がもたらす筋収縮様式の変化について学ぶ。 | 担当者全員 | |
16~18回 | 【オンデマンド】 心電図1:正常心電図の記録 | 心電図の誘導法を理解し、誘導法の相違にともなう波形の変化について学ぶ。標準肢誘導波形からの平均電気軸の求め方、意義を理解する。 | 担当者全員 | |
19~21回 | 【オンデマンド】 心電図2:電極接続の相違と筋電図の混入 | 肢誘導における電極コードの接続の相違がもたらす波形への影響を理解する。誘導法の原理から筋電図の混入と誘導法との関連を理解する。 | 担当者全員 | |
22~24回 | 【オンデマンド】 剔出心1:スターリングの心臓の法則 | カエルの心臓の人工灌流を行い、心筋の自動性について学ぶ。また灌流液量の変化に伴う心臓への圧変化と心拍出量の関係を観察することにより、スターリングの心臓の法則について理解する。 | 担当者全員 | |
25~27回 | 【オンデマンド】 剔出心2:灌流液の組成の効果 | 異なったイオン組成の灌流液を用いてカエルの心臓の人工灌流を行い、各イオンの心拍動に対する影響を理解する。 | 担当者全員 | |
28~30回 | 【オンデマンド】 剔出心3:薬物の影響、外部刺激の影響、スタニウスの結紮実験 | アドレナリンとアセチルコリンの心拍動に対する影響について学ぶ。心拍動の収縮期、拡張期における刺激応答性を観察することにより、絶対不応期、期外収縮、代償性休止について理解する。またカエルの刺激伝導系の間を結紮することにより、刺激伝導系の存在と心筋の自動性について学ぶ。 | 担当者全員 |
◆実務経験の授業への活用方法◆
研究所での研究経験を踏まえ、生体の機能がどのように解明されてきたのか概説する。
腸管の運動におけるアセチルコリンの影響を説明することができる。腸管におけるアセチルコリン受容体の種類と局在について説明ができる。神経と筋肉の興奮・収縮過程において、全か無かの法則、強さ時間曲線、筋収縮の種類、標本の疲労について理解し、説明ができる。心電図の各波形の意味、各誘導法の原理、アイントーベンの正三角形・平均電気軸について説明ができる。心臓の拍動に対する灌流圧、各種イオン、アドレナリン、アセチルコリンの影響を説明ができる。また心拍動における期外収縮や刺激伝導系の特徴について理解し、それらの説明ができる。各種実験により得られた結果を適切にまとめ、グラフとして示すことができる。
実習レポート(70%)及び小テスト(30%)により評価する。実習レポートは、担当教員が記載内容を確認後、コメントを記入して後期講義期間内に返却する。
予習:事前に実習書を読み、実習内容の概要を十分に把握しておくこと。生理学Ⅰ・Ⅱと連携しているので、講義内容を理解し実習に参加すること。
復習:実習ビデオを再度確認し結果を十分理解すること。また実習講義ビデオと教科書を用いて実習結果の理解を確認すること。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 生理学実習書 | 北里大学医療衛生学部編 | 北里大学医療衛生学部 |
参考書 | メディカルスタッフ専門基礎科目シリーズ 新版 生理学 | 桑名俊一、荒田晶子 編著 | 理工図書(ISBN 978-4-8446-0883-7) |
科目ナンバリングコード: HS204-SF07