科目責任者 | 坂口 和也 (※) |
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担当者 | 坂口 和也 (※), 安冨 蔵人 (※) |
科目概要 | 2年 (2単位・必修) [医療工学科 診療放射線技術科学専攻] |
核医学検査技術学は放射性医薬品を体内に投与するなどして、臓器組織の機能および病態の解明を行う検査技術を取り扱う学問である。
核医学検査は、
・ 放射線を外照射しない計測 (試験管内/生体内に投与した薬剤等の放射能濃度計測)
・ 非密封放射性同位元素の使用 (標識・トレーサーとして使用・放射性同位元素の管理)
・ 生理学的活性などの機能評価 (捕捉(血流)・基質代謝・受容体結合・抗原-抗体反応など)
という特徴を持つ。
核医学技術学Iでは、採血・採尿等で得られる生体試料と放射性医薬品を試験管内で反応させ、反応生成物から腫瘍マーカーなどを定量評価するインビトロ検査を学ぶことで、核医学検査の原理や特徴を習得する。
また、インビボ検査(放射性医薬品を生体内投与、薬剤の挙動を体外計測で画像化する検査)について、インビトロ検査の応用であることを知る。
インビボ検査で用いられる核医学診断装置(シンチレーションカメラ(ガンマカメラ)・SPECT・PET)の構造・撮影原理・保守管理について深く学ぶ。
インビトロ核医学検査の原理・手技を講義し、定量測定法・薬物反応速度論、インビボ検査法の一部についてまで言及する。また、核医学診断装置のうち、撮像原理と画像処理および装置の性能評価法を講義する。併せて、使用される非密封放射性核種の種類や取扱いについても知識として身につける。
回 | 項目 | 授業内容 | 担当者 | 日時 |
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第1回 | 核医学検査概論 | 核医学検査の特徴や特殊性についてX線撮影系と対比で理解し把握する。また非密封放射性同位元素を用いる検査で、診療放射線技師として特に注意すべき事例をX線照射装置との対比で理解する。 | 坂口 和也 | 9/4② |
第2回 | インビトロ検査1 (試験管内検体濃度定量) | 採血サンプル等を試験管内で定量的に評価するインビトロ検査について、その測定原理や代表的手法の知識を付ける。 | 坂口 和也 | 9/11② |
第3回 | インビボ検査への応用 (生体内薬物動態解析) | インビトロを基礎としたインビボ検査への応用として、インビボ固有の問題点、反応速度と定常時濃度の関係、代表的な指標について脳核医学検査(臨床使用)を例に学ぶ。 | 坂口 和也 | 9/18② |
第4回 | インビトロ検査2 (インビトロ検査各論) | RIA/RRA, IRMA, DSA(CPBA), RIST/RAST等のラジオアッセイについて測定手技や特徴、注意点などの知識を得る。 | 坂口 和也 | 9/25② |
第5回 | 核医学検査装置1 (ガンマカメラの構造) | 最も簡素な機構で計測できる甲状腺機能検査装置(シンチレーション検出器)について知る。その後、画像化技術を導入したガンマカメラ(アンガー型)の構造を理解する。 | 坂口 和也 | 10/2② |
第6回 | 核医学検査装置2 (PET装置の構造) | PET装置の構造について、検出原理やリング型検出器、同時計数回路などガンマカメラとの差異を比較しながら理解する。 | 坂口 和也 | 10/9② |
第7回 | 核医学検査装置3 (半導体検出器) | 最近、半導体検出素子を多配列したベンダー型とも言えるカメラが出現している。また、PET装置においても、半導体化が進んでいる。この辺りやガンマプローブ等、半導体検出器について学ぶ。 | 坂口 和也 | 10/16② |
第8回 | 核医学撮像原理1 (静態収集・全身収集) | 静態画像収集、全身画像収集について、骨シンチグラフィ検査を例に学ぶ。また、出力画像の変化など詳しく知ることで、性能を一定に保つ日常点検の大切さ困難さを認識する。 | 坂口 和也 | 10/23② |
第9回 | 核医学検査装置2 (動態収集・断層撮影) | 動態収集については腎レノグラム・心臓核医学検査を例に、断層撮影は脳・心臓検査を例にして、静態収集との違いを明確にしつつ学ぶ。 | 坂口 和也 | 10/30② |
第10回 | 装置の性能評価・保守管理、 放射性医薬品 / 廃棄物管理 | 核医学検査装置の性能評価と保守管理の方法・頻度について、その必要性や重要性を把握しつつ、理解する。併せて非密封放射性同位元素の取扱いについてもここで触れる。 | 坂口 和也 | 11/6② |
第11回 | 撮影時に発生する諸問題 | 生体内に集積した局所薬剤濃度を体外計測する目的に対して、阻害する因子が複数存在する(減衰, 減弱, 散乱線など)。これらの問題を一通り洗い出す。 | 坂口 和也 | 11/13② |
第12回 | 核医学画像処理1 (画像再構成-フィルタ補正逆投影法) | 核医学検査では鮮鋭度が悪く、雑音の多いしか得る事ができない(投与量/撮影時間の制限より)。これらを改善する周波数フィルタについて、画像再構成法の一種である、フィルタ補正逆投影(FBP)法と合わせて理解する。 | 坂口 和也 | 11/20② |
第13回 | 核医学画像処理2 (画像再構成-逐次近似法) | 現在の核医学検査で専ら用いられている逐次近似画像再構成法(OS-EM法など)について、FBP法と対比させつつ、特徴を理解する。 | 坂口 和也 | 11/27② |
第14回 | 核医学画像処理3 (減弱・散乱線補正) | 放射性医薬品から放射される光子と人体との相互作用により発生する物理的画像劣化因子について、ほぼ均質な減弱体である頭部(脳SPECT)・そうでは無い胸部(心臓SPECT)、それぞれを例に学ぶ。 | 坂口 和也 | 12/4② |
第15回 | インビボ核医学診断装置のまとめ | 核医学診断装置は何を計測しているのか、初歩に戻り、機能画像や定量的評価などと呼ばれるゆえんについて考える。 | 坂口 和也 | 12/11② |
1) 核医学検査装置(撮像と画像処理、装置の性能評価と保守管理)について具体的に説明できる。
2) 放射性医薬品を用いたインビトロ検査の原理・手技について具体的に説明ができる。
3) インビトロ検査の原理を理解し、インビボ検査への応用例について説明ができる。
主に定期試験(70%)とし、講義中の小テスト結果を日常の取り組み(30%)として評価に加える。
なお、学部試験内規に従い、出欠は定期試験受験資格の判定のみに用いる。また、再試験は実施しない。
小テストはマークシート形式とし、問題用紙および解答・解説は同日に持ち帰ることができる(有効に使うこと)。
核医学技術学は臨床応用に向けた学問であり、放射性医薬品や取扱いについては放射化学・放射線管理学の知識が必要となり、核医学検査装置については放射線計測学(主にシンチレーション検出器・半導体検出器)の知識が必要となる。また、画像処理に関しては画像工学・画像情報学(フーリエ変換・周波数解析)が、画像解析では応用数学(微分方程式)が基礎知識として必要となる。講義にあたり、特別な予習・復習(課題)を課すことはしないが、本科目を通じて基礎科目を見直す・関連づけるよう心掛けること。また、講義の区切りごとに小テストを実施するので復習をしておくこと。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 核医学検査技術学 改訂3版 (診療放射線技術選書) | 佐々木雅之, 桑原康雄 | 南山堂 |
参考書 | 核医学技術総論 | 日本核医学技術学会 | 山代印刷 |
参考書 | 標準 核医学画像評価 (放射線技術学スキルUPシリーズ) | 日本放射線技術学会, 大西 英雄 | オーム社 |
参考書 | 核医学検査技術学 改訂2版 (放射線技術学シリーズ) | 大西英雄, 松本政典, 増田一孝 | オーム社 |
参考書 | 核医学イメージング (MEシリーズ) | 藤林靖久, 天野昌治 | コロナ社 |
参考書 | SPECT基礎読本 | 渡邉直行 | 医療科学社 |
診療放射線技師国家試験の「核医学検査技術学」に該当する科目であることから、十分な理解を促す目的で補講を実施することがある。