病理検査学実習Laboratory in Pathology
科目責任者高橋 博之 (※)
担当者高橋 博之 (※), 丸山 弘子 (※), 土屋 紅緒 (※)
科目概要2年 (1単位・必修) [医療検査学科]

授業の目的

 病理組織標本を作製するための基本的な技術を習得する。さらに講義内容に関連した肉眼標本、病理組織標本を観察し、疾患を実像として理解する。

教育内容・教育方法

 病理技術実習では、組織観察にとって必須の各種染色法の実際を理解し、実践する。
 鏡検実習では、各臓器の代表的な疾患の組織レベルでの変化を観察し、病態を理解する。また、各疾患の病理診断根拠となる組織所見を理解する。

授業内容

項目授業内容担当者日時
1回標本鏡検(1)-1細胞の変性・壊死(標本Ⅰ-1):亜急性リンパ節炎のHE標本を観察し、細胞死の組織像を観察する。
脳梗塞(標本Ⅰ-2):脳の橋の梗塞による融解壊死像および組織反応を観察する。
高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
11/6③
2回標本鏡検(1)-2リンパ節の乾酪壊死(標本Ⅰ-3):結核性リンパ節炎の標本により、類上皮細胞肉芽腫、乾酪壊死、ラングハンス巨細胞を観察する。
脂肪肝(標本Ⅰ-4):大量飲酒により発生した肝の脂肪変性を観察する。
高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
11/6④
3回標本鏡検(1)-3肉芽組織(標本Ⅱ-1):肉芽組織を構成する毛細血管、線維芽細胞を観察する。
瘢痕(標本Ⅱ-2):肉芽組織からどのように瘢痕に推移したかを理解する。
肝のうっ血(標本Ⅲ-1):右心不全により肝臓に高度のうっ血をきたしていることを組織を通して理解する。
新鮮血栓(標本Ⅲ-2):線維素による血栓形成を観察する。
高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
11/6⑤
4回標本鏡検(2)-1器質化しつつある血栓(Ⅲ-3):器質化とは何か、を標本を通して理解する。
日本住血吸虫卵の塞栓(標本Ⅲ-4):虫卵の形態、および虫卵はどこに詰まっているかを理解する。
高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
11/7③
5回標本鏡検(2)-2急性心筋梗塞(標本Ⅲ-6):心筋線維の壊死像、出血、好中球浸潤を観察する。
肺出血性梗塞(標本Ⅲ-8):何故、このような病変が出現するかを標本を通して理解する。
皮膚膿瘍(標本Ⅳ-1):膿瘍とは何かを、この標本を通して理解する。
異物性炎(標本Ⅳ-2):異物に対する組織反応を観察する。
橋本病(標本Ⅳ-4):この標本を通して、橋本病の病態を理解する。また、形質細胞の特徴を観察する。
高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
11/7④
6回標本鏡検(2)-3アスペルギルス症、カンジタ症(標本Ⅳ-6-1):アスペルギルス菌体、カンジダ菌体をグロコット染色標本で観察すると共に、HE染色標本でも認識できるかどうかを自分の目で確かめてみる。
巨細胞性封入体症(Ⅳ-7):肺のどの細胞に見られるかを観察する。
高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
11/7⑤
7回標本鏡検(3)-1リウマチ熱・心(標本Ⅳ-8):この標本を通してアショフ小体とは何かを理解する。
心筋肥大、褐色萎縮(標本Ⅴ-1,2):両者を比較しながら、心筋肥大と委縮は何が違うかを理解する。
高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
11/8③
8回標本鏡検(3)-2腺腫、腺癌(標本Ⅵ-1,2):両者を比較しながら腺腫と腺癌の相違を理解する(細胞異型、構造異型、周囲との境界、浸潤、リンパ管侵襲などについて)高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
11/8④
9回標本鏡検(3)-3扁平上皮癌(標本Ⅵ-3):この標本を通して、扁平上皮癌の特徴(特に角化)、腺癌との相違を理解する。
骨肉腫(標本Ⅵ-4):この標本を通して、肉腫とは何か、腫瘍細胞の配列、形態の特徴、類骨について理解する。
高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
11/8⑤
10回標本鏡検(4)-1奇形腫(標本Ⅵ-5-1):この標本を通して、 奇形腫とは何かを理解する。また、標本中に見られる組織要素は外・中・内胚葉のいずれの由来かを識別する。
胞状奇胎(標本Ⅵ-5-2):この標本を通して、胞状奇胎とは何か、を理解する。また、正常の絨毛と胞状奇胎の絨毛の組織上の相違を認識する。
高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
11/26③
11回標本鏡検(4)-2濾胞性リンパ腫(標本Ⅵ-7):弱拡大の特徴を理解する。次いで、腫瘍細胞の形態的特徴を認識する。
ホジキン病(標本Ⅵ-8):ホジキン細胞、リード・ステルンベルグ細胞を観察する。また、背景の細胞について理解する。
高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
11/26④
12回標本鏡検(4)-3肝海綿状血管腫(標本Ⅵ-9):この標本を通して良性非上皮性腫瘍の特徴を理解する。
肝細胞癌(標本Ⅵ-10):周囲との境界、腫瘍細胞の配列、細胞形態の特徴を観察する。また、非腫瘍部の組織所見についても注目する。
高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
11/26⑤
13回病理技術(1)-1パラフィン包理、薄切、凍結切片:パラフィン包埋は実際にどのような手順で行われるかをデモを通して理解する。パラフィンブロックを薄切するためのミクロトームの扱い方、凍結切片作製のためのクリオスタットの操作、凍結切片はどのような時に必要か、を実技を通して理解する。高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
11/27③
14回
病理技術(1)-2
HE染色:病理組織標本作成の基本であるHE染色について、その原理、どのような試薬が使われているか、染色時間、染め上がりについて理解する。また、実際に染色した標本について期待された染色態度が得られているかどうかをチェックする。高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
11/27④
15回
病理技術(1)-3
鉄染色:ベルリン青染色により3価の鉄を染める。原理、染め上がり、この染色を行う意義をよく理解する。また、核染色に使う染色液についても知っておく必要がある。高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
11/27⑤
16回
病理技術(2)-1
薄切:ミクロトームの種類、引き角、逃げ角を理解し、切片の不良はどのような原因で起こるか、またその対策を考える。
凍結切片:ミノー型の構造、扱い方を理解する。また、凍結切片を作製するにあたっての適応、長所、短所を考える。
高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
11/28③
17回
病理技術(2)-2
グロコット染色:何を検出するためにこの染色を行うか、また、試薬(クロム酸、メセナミン銀液、塩化金など)はどのようなどのような目的で使われるか、を理解する。高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
11/28④
18回病理技術(2)-3AZAN染色1日目:この染色は何を見るために行うか、また、試薬(アゾカルミンG液、リンタングステン酸、アニリン青・オリンジG混合液など)はどのような目的で使われるかを理解する。高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
11/28⑤
19回病理技術(3)-1薄切、凍結切片:第16回参照高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
11/29③
20回病理技術(3)-2AZAN染色2日目:第18回参照高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
11/29④
21回病理技術(3)-3PAS染色:この染色は何を見るために行うか、また、試薬(過ヨウ素酸、シッフ試薬、亜硫酸水など)はどのような目的で使われるかを理解する。高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
11/29⑤
22回病理技術(4)-1薄切、凍結切片:第16回参照高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
12/3③
23回
病理技術(4)-2
鍍銀染色:この染色は何を見るために行うか、また、試薬(過マンガン酸カリウム、シュウ酸、鉄ミョウバン、アンモニア銀、塩化金など)はどのような目的で使われるかを理解する。高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
12/3④
24回
病理技術(4)-3
KB染色1日目:この染色は何を見るために行うか、また、試薬(ルクソール・ファスト・ブルー液、炭酸リチウム液、クレシル紫液など)はどのような目的で使われるかを理解する。高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
12/3⑤
25回
病理技術(5)-1
薄切、凍結切片:第16回参照
高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
12/4③
26回
病理技術(5)-2
KB染色2日目:第24回参照
エラスチカ・ワンギーソン染色:この染色は何を見るために行うか、また、試薬(レゾルシン・フクシン液、鉄ヘマトキシリン液、ワンギーソン液など)はどのような目的で使われるかを理解する。
高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
12/4④
27回病理技術(5)-3コンゴーレッド染色:この染色は何を見るために行うか、また、試薬(アルカリ・アルコール液、コンゴ-赤液など)はどのような目的で使われるかを理解する。
脂肪染色:どのような時に脂肪染色を行う必要があるかを理解する。また、切片、封入剤は通常のパラフィン切片のときと何が違うかを考える。
高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
12/4⑤
28~29回標本鏡検(5)-1,2,3アミロイドーシス:腎臓のどこにアミロイドが沈着しているか、特殊染色は何を使うか、偏光顕微鏡ではどのように見えるか、を理解する。
大動脈粥状硬化:動脈硬化の形成過程、粥腫とは何か、合併症にはどのようなものがあるかを理解する。
肝の血鉄素沈着:鉄は肝臓のどのような細胞に沈着しているかを観察する。
高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
12/5③④
30回試験試験高橋 博之
丸山 弘子
土屋 紅緒
12/5⑤

到達目標

1.組織標本作製の原理を理解し、自分で標本を作製できるように基本的技術を習得する。
2.主な病気の病理組織像を理解する。

評価基準

 実習試験(80%, (標本鏡検40%, 病理技術40%))、スケッチ(20%)

準備学習等(予習・復習)

 あらかじめ病理実習テキストに目を通し、染色の原理、手順、標本観察のポイントをつかんでおく。

教材

種別書名著者・編者発行所
教科書病理実習テキスト北里大学医療衛生学部編教員より配布
教科書臨床検査学講座 病理学/病理検査学松原修、ほか編医歯薬出版
参考書病理標本の作り方病理技術研究会編文光堂 1992
参考書最新 染色法のすべて月刊Medical Technology 別冊、2011医歯薬出版
参考書組織病理アトラス小池盛雄、ほか編文光堂 2005