授業の目的

　環境中の有害化学物質（ダイオキシン、多環芳香族類、ホルムアルデヒド、カドミウムなど）は、ヒトの健康の多くの面に悪影響を与え、慢性疾患やガンを発生させる可能性がある。ヒトへの有害化学物質の曝露は、遺伝子レベルで健康に影響するため、その影響を防ぐまたは抑えるには、遺伝学や遺伝子についての知識が必要である。さらに、有害化学物質に対する影響の度合い（感受性）は、個人差があり、その原因の一つは遺伝要因(遺伝子の多型性等)であることが解ってきた。遺伝子の多型性は、個人間の遺伝子の「塩基配列の違い」で、その違いにより化学物質などに対する感受性が異なる。
　本科目は、遺伝子レベルにおいて化学物質の生体への影響及び遺伝子の多型性等を理解するために基礎的な分子生物学の知識を習得する。更にこれらの知識が、有害化学物質曝露による疾病の予防につながることを理解する。

教育内容・教育方法・フィードバック

　分子予防環境医学の基礎知識として分子生物学と遺伝子工学に関する基礎的な知識を学習する。さらに生活習慣病、癌などの解析に関して例を挙げながら、どのようにして遺伝子についての研究が産業衛生に応用発展されるかを紹介する。

授業内容

到達目標

　分子生物学や遺伝子工学の基礎的な知識をよく理解し、これらの知識が有害化学物質の曝露によって生じる健康障害の予防に役立つことを理解する。

評価基準

　レポートにより、受講者の知識が到達目標に達しているかを総合的に評価する。また、受講態度も評価する。

準備学習等(予習・復習)

　事前に、参考書を利用して、授業内容に書いてある言葉を調べておくこと。

教材